第15話
「素敵なディナーね。ウス君。」
「お褒めに預かり光栄です。」
マリアはウスが作ったディナーに舌鼓を打っていた。
味は勿論のこと、今日一日を締めくくるのに最適な栄養管理に見た目と匂いも自分の好みをドストライクに捉えられていた。
関わってまだ1ヶ月も経ったくらいな上、二人っきりで話したのも今日が初めてなのにこの理解力は流石王族の従者だと感心していた。
今日した訓練でも自分の調子を上げる内容になっていた。
あまり一対一での戦闘が得意ではないマリアは手合わせしなかったが、外見からでも分かる筋肉とそこから来るパワーと自分が惹かれそうな要素が揃っているのだが、それでも惹かれる事はなかった。
「むむむむ。」
「そんなに私を凝視してどうされましたか?」
「貴方から魅力を感じない。と言うより本能が否定している?って言う方が近いかも知れないわ。」
マリアが魅力がないと言われてまたか、と思っていたウスだったが、その次の言葉にドキッとしていた。
ウスは完璧に隠せているとは思っていないが、それでも1日でその違和感に辿り着けるとはと驚いていた。
「ノロ様にも言われました。魅力がないと。」
「そうでしょうね。貴方はアマゾネスの理想の男性と言っても良い強さと能力よ。それが惹かれないなんて自分の性欲が無くなったんじゃないか?って疑う程よ。」
ウスに会ってからエロ本を読むペースは増すばかりである。
性欲を積もらせても興奮しない自分に違和感しか覚えない。必ず何かカラクリがある。
「ノロ様にも言いましたが、これは副作用のようなものでございます。」
「副作用・・・ドーピング?」
副作用と聞いて最初に思いついたのはドーピングだった。男離れした力を手にするための薬。
そんな物があるなんて聞いた事はないが、ないとも言えないくらいアマスではドーピングは推奨されている。
但し、キッチリ無毒になっている事が条件となっている。
例を挙げるとしたウスが作ったこの料理にもドーピング食材が含まれている。
効果は筋肉をつきやすくしたり、魔力量と質向上である。
中には心肺機能アップや血液量上昇など今回は使われていないだけでアマスには様々な効果の食材がある。
それも他国では劇薬として指定されている物ばかりである。
アマゾネスは長らくそれを食べてきた事によって遺伝子に地元のドーピング食材の耐性がついた上でドーピング効果を失わないと言う進化をしてきたのである。
話を戻すが、そんなドーピング文化で副作用として男の魅力を無くすというドーピングを聞いた事がないと言うのはあり得ないと考えられた。
それに魅力を無くしても力を手に入れたいと考える男がウス以外にいないなんてアマゾネスの本能的に無いと言い切れた。
つまり、ウスの力はそう簡単に手に入らない物であり、何かを摂取している様子がなかったと言う事は効果は永続か、少なくても一日以上は持つと言う事である。
「まぁ、良いわ。」
ここまで考えたが良いが、現状確認のしようがない為、今回はウスの正体を見るのは諦める事にした。
あのアリセシアがベタ惚れしている素顔を見てみたい気持ちがあるが、まだまだ学園生活は目白押しである。
いつか見る機会があるだろうと考えたのである。
「失礼します!!」
「どうしたの?食事中よ。」
食事は静かに楽しみたいマリアは食事中は緊急の連絡以外は入室を禁じていた。
ウスも声以外は物音を一切立てずに作業をしていた。
そんな事を屋敷の人間が知らない筈もない。
つまり、緊急の要件という事である。
「マリア様!戦争です!隣国のエーテル王国が攻めてきました!!」
「へぇ、それは楽しみですね。」
ウスは出撃を準備とアリセシアやノロの所にも同じ知らせが来ている筈なので、ヤマとライクに連絡と合流の確認をし始めていた。
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