第7話
「それにしてもお二人と買い物するなんて初めてですね。改めまして、アリセシア様筆頭従者のウス・ゾネです。」
「今日は宜しくお願いします。ノロ様筆頭従者のヤマ・ハオンです。」
「よろしくお願いしまーす!!マリア様筆頭従者!ライク・ライアーです!!」
今日は親友同士の主人の従者間の親睦を深める為に買い出しに出ていた。
まぁ、それは建前でウス以外の二人には主人から賜った使命があった。
「で、どうしますか?ライクさん。聞こえない様に念話にしてくださいね。」
「了解です!!っ!」
「まだ何も言ってませんが?」
「すみません、このライクさんは念話していたらつい、口にも出してしまう癖がありまして多分、主人から買う品を聞いていたのでしょう。」
「気絶していますよ。」
「安心してください。この子は頑丈ですから。すぐ目を覚まします。」
念話でしろと言うのに口出して相槌を打った馬鹿にこれ以上余計な事を話させないために拳骨を頭に落として気絶させたヤマはウスに不審がられないにうまく誤魔化した。
元々、一人で買い出しをさせたら買う事を忘れてしまう馬鹿なのか幸いしてウスもそうですかと納得した。
ヤマはこのミッションを完遂するにはライクは邪魔だと即切り捨てて自分だけで進めていく事にした。
「今回の買い出しはノロ様の茶会に際してのお茶菓子の用意でしたね。」
「はい、お恥ずかしながら私はお菓子作りが得意ではなくて、前回の茶会ではウスさんが作られたお茶菓子が大変ノロ様も気に入っていましたので、従者として私もお菓子作りをしてみようと思いました次第です。」
「私はその味見役でーす!」
勿論、これは建前である。
お菓子作りに興味は持ったのは本当だが、今回の主旨で別である。
ライクは既にミッションを忘れてヤマが作るお菓子を楽しみにしている節があった。
「今日は市場に珍しい果物が出るそうなので、まずはそれを見に行きましょう。」
「珍しい果物ですか?市場ならこちらからの方が近いですよ。」
「美味しいと良いですね!」
三人は王都の南側にある市場に向けて足を進めた。
「お二人は幼い頃からノロ様達の従者だったんですね。」
「はい、ノロ様とマリア様は親同士が親友でしたので幼い頃からずっと一緒でした。私達も従者として片時も離れることなくお側に仕えてきました。」
「あの頃のマリア様達は可愛かったです!!」
まるで今は可愛くない様な発言に絶対主人の前では言うなとヤマが釘を刺していた。
従者を付けるのは家によって時期はまちまちな為従者のつく時期誤差があるのだ。
大体の場合、学園入学までに付ける様になっていた。
従者になる事が決定していたウスもそのタイミングでアリセシアに仕え始めたのである。
「お二人は本当に仲がよろしいのですね。」
「そうなんですよ!!ヤマちゃんは本当に小さい頃は寂しがり屋めノロ様や私の側を離れなかったんですよ!!」
「私の黒歴史を勝手にバラすんじゃない!!」
「ふふふ、そう何度当たるアタシじゃないんですーー!!」
あははは!!と笑って逃げるライクと待ちやがれ!!と追いかけるヤマを見失い為にウスも後を追いかけるのであった。
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