2:君は?
いまだ怒号の飛び交う大通りとは対照的に、裏路地はやけに静かだった。
そして目の前には跪く女。
このバカげた状況を夢ですますには、先ほどの魔法の恐怖があまりに鮮明で、
これがまぎれもなく現実であると分からされた。
「…きみは?」
緊張のせいか少し震えた声で聞く。
女は跪いたまま答える
「あなたの従者だよ」
「従者って…」
「従者は従者だよ」
「…」
会話になっていない。いきなり引っ張られて裏路地につれてこられた挙句、
説明もなく
…いや、ここまで連れてこられたことは感謝すべきだろう。
彼女が助けてくれなければあそこで焼け焦げた肉片になっていただろうから。
「えっと、従者かどうかは置いといて、とにかく助けてくれてありがとう。」
「従者なんだから当然でしょ。ていうかそろそろ立っていい?膝痛いんだけど」
なんだこいつ。自分で跪いたくせに…
女はこちらの無言を肯定と捉えたのか、膝のほこりをはたきながら立ち上がった。
「じゃ、改めて自己紹介するね。あたしアーシャ。あんたの従者だよ。」
そういうとアーシャはこちらをじろじろ見てきた。あ、こいつため息ついた。
「あんた…勇者の割には貧相過ぎない?こんなんじゃ魔王もなにもそこら辺の下級魔物にも負けるよ」
「いや、まずこの状況を説明してくれ…。こちとらいきなりこんなとこに飛ばされて来たんだから。」
「は?あんた勇者じゃないの?なんでなにも知らないのよ」
「まず勇者って、どーゆーことだよ。」
「あんた「こんなところにいたのか!!」
アーシャの背後から声が聞こえた。
「くそっ馬鹿に見つかった…」
アーシャはうんざりした顔で、腕をつかんできた。
「ほら、さっさと逃げるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます