ケツからはじまる
「魔王、ですか?」
思わず聞き返してしまった。
「ええ、そうです」
女神はうなずいた。
「魔王は…⁉」
その時、女神の顔が驚愕に染まった。
不思議に思いその視線の先を見ると、この純白の世界に黒が浸食していた。
漆黒の触手のようなものがうごめき、壁を伝ってゆく。
それがよからぬものであるのは、何も知らない自分でもさすがに分かってしまった。
「っもうここにまで…⁉」
白塗りの壁がじわじわと漆黒に染められてゆく。
何が起こっているか分からず、自分はただその光景を呆然と眺めていた。
「時間がありません!勇者さま‼」
女神が手をこちらへ向ける。その手のひらに光が集まっているのが見えた。
「お願いします!世界を…そして…
そこで俺の意識は途切れた。
「ん…」
まぶしい光とけたたましい歓声にあてられて、俺は目覚めた。
「「「「勇者様ー!!」」」」
「「こっちみてー‼」」
「「「ウオオオオオオオオオ‼‼‼‼‼」」」
瞼を開けると、その歓声は俺に向けられたものではないことが分かった。
俺は、人だかりの中に立っていた。
人々の視線の先には、豪華に装飾された馬に乗り、民衆に手を振る男がいた。
俺はその男から目が離せなかった。
民衆が叫ぶ
「「「魔王討伐おめでとうございます‼‼」」」
その男は、頭から大きな角が生えていた。
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