結末(ケツ)から始まる俺の大カツヤク
ねこらごん
ケツから始まるプロローグ
早速だが、ケツが終わった。
いや、何を言っているかわからないと思うが、俺もこんなことになるとは思ってなかった。
まさか生徒指導室に呼ばれたと思ったらケツにマグナムをぶち込まれるなんて…
あの体育教師…許せねぇ…
なにが「お前は世界を目指せる存在」だ。ぶち込まれる側の身にもなれっての。
「…で、ここどこだよ」
気付くと俺は知らない部屋に立っていた。
床も壁も天井も白、白、白
視界を白に埋め尽くす部屋には応接室のような、テーブルとそれを挟んだ二つのソファのみが置かれている。
この部屋の持ち主はよほど白が好きなのか、それら家具も白という徹底ぶりだった。
「目覚めましたか、勇者様」
「!?」
振り返ると、そこには神がいた。
理屈はなくただ本能で理解した。
――彼女は神であると――
「っ!」
咄嗟に跪く《ひざまずく》。正式なマナーなど知らないが立っているよりは遥かにマシに思えた。
女神が口を開く。
「いえ、そんなに畏まらなくてもいいですよ。ここに呼んだのは私ですし。」
その言葉を受け、立ち上がる。
「わ、わかりました。」
「まずは座ってくださいな。」
その瞬間、体が浮遊感に包まれたかと思うと、ソファに座っていた。
「?、??」
「困惑しているようですね、無理もありません。まずはお茶でもいかがですか。」
向かい側に腰かけた女神は空中からポットを取り出し、二つのカップに茶を注ぐ。そして自分の方へ一つを差し出してきた。
「あ、ありがとうございます」
カップを受け取り、少し啜る。
紅茶とコーヒーが混ざったような味がした。
…あまりおいしくはない。
しかし、神の前でそんなどうでもいいことを考えられる自分に少し驚く。さっきまで圧倒されるままだったというのに。
「落ち着くでしょう。私のお気に入りです。」
女神は少し誇らしげである。確かに、彼女への畏怖はおおかた消え去っていた。
「そ、それで、聞きたいことがあるのですが、ここはどこですか?僕が呼ばれた理由とは?」
恐る恐る聞いてみる。
女神は苦笑し、少し申し訳なさそうな顔をした。
「まず、ここは神域です。そしてあなたを呼んだ理由は…世界を救って頂きたいからです。」
「世界を、ですか?」
「はい。それもあなたの世界ではありません。私の管轄するもう一つの世界です。」
「もう一つの世界、ですか」
「はい。その世界が今危機に陥っているのです。」
「危機とは?」
女神はしばらく逡巡して、決心したように口を開いた。
「魔王です」
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