第4話 洞窟

ある日の森の中、ジニアは今日も食料を探しに大きな籠を背負って歩いていた。


グロリオサと共に暮らしていた頃の癖でつい2人分を採ってしまいそうになり、ハッとする。

欲のままに採ってはいけないと祖父に言われたことをジニアは覚えている。

この自然も私達と共に生きる者達なのだ。


ジニアは自分が食べる分の食料を採り、森へ挨拶をする。これも祖父から受け継いだ事の1つだ。グロリオサはとても愛情深い人だった。



「今日も食料を貰います。いつも美味しい食料をありがとうございます。いただきます。」



生き物は1人では生きていけない。

誰かに支えられ、そして時に誰かを支えて生きていくものだ。それが生き物の美しさで素晴らしさなのだとジニアは思っている。


食料を取り終え、家へ帰ろうとしたジニアだったが、ふとある小道が目に入った。

普段は立ち入らない場所だったが、その日は何故か無性に気になってしまった。



「まだ明るいし、少しだけ行ってみようかな。」



ジニアは小道へと進んだ。先程まで進んできた道とは異なり、草木が伸びきっておりジニアの腕や足に纏わりつく。避けながら暫く進むと明るくなっていた。出口が近くなったと思い、ジニアは早足で小道を駆け抜けた。


小道を抜けた先には洞窟があった。ジニアは今まで森の中に住んでいたが、こんな場所は知らなかった。

魔力の無いジニアだったが、何やらただならぬ存在がこの奥にいることを感じ取っていた。


引き返そうと思っていたジニアだったが、好奇心が抑えきれずにその洞窟の中へゆっくりと足を進め出した。



1歩。


また1歩。


洞窟の入り口はジニアの前にそびえ立つ。


今ならまだ引き返せる。そう思い引き返そうとしたジニアだったが、それは叶わなかった。



真っ白な鱗と大きな尖った翼。


紺碧の鋭い瞳はジニアを逃がすまいとその中にしっかりと捉えている。



「おい、人間族の小娘…。俺の縄張りで何をしている。殺されに来たのか。」



目の前のドラゴンは鋭い前足の爪をジニアへ向かって振り下ろした。



ジニアはその時、何を感じていただろうか。


ジニアの瞳にはガイアはどのように映っていたのだろうか。





これが、このドラゴンと少女の初めての出会いだった。














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