第9話 ということは、朱実もいっしょに
おかげで
「ひな
「学級……崩壊とか?」
「学級崩壊」が言いにくかったのは、学級崩壊が深刻な事態だからではなく、たこ焼きのせいでまだ口のなかが熱いからだろう。
ほれみぃ、と思っていると顔が笑顔になるのがわかる。
「いや、ただよう泣く先生やっただけ。それにたしかにぼんやりさんで、なんかへんな凡ミスもようやったしなぁ。学校に持ってくる
「……なにそれ?」
「前の日に買い物に行ったときのバッグ、学校の鞄のとこに置いたままにしてはったんやろ。それで、まちがえて持って来はったのにも気づかへんで、学校まで来てしもうて。あと、あの体育とかで白線引くやつ、あるやん。なんか粉のいっぱい入った、ごろごろ引っぱるやつ」
「……ああ」
「あれを階段の上まで持って来て、そこでひっくり返さはったことある。クラスの半分、体操服の上からまっ白け。そのへん、なんかチョーク臭いっちゅうか石灰っぽいっちゅうか、そんな白い煙が漂うて、みんな
「ということは、朱実もいっしょにいじめてたんや」
「わたしはそんなことせえへんよ」
あのころ、紘くんとそんなに仲ようなかったし、とは言わなかった。
「男の子らのなかに」紘くんもおった、て言うてるんやから、女の子のわたしがそのなかに入ってるわけがないやん、とも言わなかった。
続ける。
「それに、崩壊どころか、一学年三クラスで、そのひな子先生のうちのクラスがいちばんまとまりよかったもん。運動会でも、個人の競技はべたべたやけど、リレーとかになるとすごい強かったし、あと、みんなでやるダンス? そんなんもうちのクラスが学校で一番とかで表彰されてたし。ひな子先生が持たはったのが三年生からの四年間、そのあいだいちどクラス替えあったけど、いつもひな子先生のところがいちばんまとまりよかった」
「ふぅん」
たこ焼きの熱い効果が切れたらしく、亜緒依は促すように横目で朱実を見た。
でも、このぶんだと、亜緒依はたこもかたまりのまま
もったいない。
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