第86話 DOG FIGHT

 帝国海軍 第三艦隊第一攻撃隊 瑞鶴飛行隊


 ブーンとエンジン音がなり響く中、


「日高隊長……前方に豆粒……敵機です!敵攻撃隊!」

「まずい……」

「攻撃しますか?」

「ここで戦闘機を使ったら攻撃機の援護がなくなる……いや、後ろの戦闘機!戦闘用意、敵機とすれ違ったら反転して攻撃せよ!」

「了解!」


 ◇◇◇


 アメリカ海軍 USSエンタープライズ 攻撃隊長機


「前方、1時の方向に敵機!」

「なに!全速力でまっすぐ飛べ!」


「敵戦闘機、増槽ドロップタンクを切り離しました!」

「なんだと!」

「来ます!」

「戦闘機、向かえ!」

零戦ZEKE後ろから来ます!」

「オ・マイ・ガッ……全速力フルスロットル

 スロットルレバーを引いた瞬間、


 隊長機SBDの背後に零戦が張り付いた。


 パパパッ……

 火花が零戦の銃口から見える!


 パスッ、パスッ……と左翼に銃孔が空く

 燃料が霧状に尾を低いて流れていく


「左翼に被弾、燃料ゲージ下がっています……ウッ……」

 バッと血しぶきが風防に飛び散った


「ちくしょう!ガンナーやられた!出力が出ない!この野郎!」

 バリッとSBDの左翼が千切れて飛び散った!


SHIT!」


 ◇

 USSエンタープライズ 攻撃隊 F4Fワイルドキャット


「隊長機が撃墜された!ちくしょう!」


 バスッ、バスッと背後から被弾する音が!

 ミラーに零戦ZEKEが写っている!


「くそ!背後に付かれた!」


 パイロットは操縦桿を倒し昇降舵エレベータを操作し方向舵ラダーペダルを踏んだ瞬間、

 風防のガラスが割れて、バリッとバラバラに吹き飛んだ

 前方からもの凄い風圧で、前がまったく見えない


 あっと思った瞬間、F4Fはバラバラになって空中分解し、椅子ごと空に投げ出された。

 援護機のF4Fのパイロットはそのまま落下していった



 残存のUSSエンタープライズ攻撃隊に帰投の命令が下った

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