第43話 敵要塞の峰
警備とは名ばかり。
敵は、こちらの兵の姿を見ると撃ってくる最前線である。
突然の迫撃砲弾。次々と飛来する。
山砲隊が威嚇の応射陣形を整えている。
「撃てーっ!」
ドン!ドン!発射音が轟く
迫撃砲には歩兵隊の小銃は無力だ。
敵の射程圏外に出て、地形を頼りに、撃ってくる方に銃を構えた。
機関銃弾も飛来する。
これはとんだことになった……
後部の通城に集結する部隊の盾になるということか。
このような日々が2週間ほど続いた。
集結地に帰還し交代となる。
我々(
山砲隊は先に撤退。
歩兵部隊は輸送力がない。
先に撤退した部隊の弾薬が山ほどあるが、クリークに投棄するしかなかった。
退却して集結地に戻る。
この集結地においても、敵からの散発的な攻撃がある。
迫撃砲弾、機関銃弾……
集結地で、また戦友を失った。
市村健治上等兵
彼も御霊となって故国へ帰っていた。
9月24日 中国の田んぼは
数々の戦闘で、農家から刈り取られずに残った稲は、深々と頭を垂れている。
敵は我が軍の攻撃を迎え撃つべく準備を整えている。
夜の
ザッ、ザッ……という足音が響いている。
第33師団(仙台)は通城県東方地区に展開し、
師団の主力は苦竹嶺方面に、
歩兵第215聯隊は
私(宝剣信一一等兵)は南楼嶺方面、本部直轄部隊に配置されている
昨年、昭和13年9月に召集、そしてその一年後に師団総力の壮絶な戦闘に加わるとは夢にだに思っていなかった。
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