第32話 咸寧警備・通山作戦
私(
南方の通山におかれている警備隊は、敵の散発的な攻撃を受け、その都度撃退をしているが、敵の輸送妨害で
第215聯隊長は咸寧の部隊を率いて、通山への沿道の掃討作戦と通山付近の作戦のための進撃を決定した。
我々第3中隊もこの作戦への参加が決定した。
もうこの季節の湖北省は炎天下で、20キロ以上の弾薬、糧秣、装具を背負い、焼け付くような道を歩く。気温は摂氏32、3度
信越地方ではこの季節はとても気持ち良い時期で、梅雨に入る2週間くらい手前だろう。
将兵全員が頑強な体の持ち主ではない。
それはそうだ、みな召集した国民である。
行軍は最初は、佐渡おけさなどを歌いながら歩くが、だんだん口数が少なくなっていった。
咸寧、通山の両側は急峻な山岳。
敵はこの地形を巧みに進撃を妨害してきた。
パーンという銃声が聞こえた。
だが少数のゲリラ的攻撃に対して、こちらは多勢である。
戦闘配置に付き、小銃の安全子を外し、
カチャッと音がする。
引金を引く…………パーン
炎天下に乾いた銃声が響き、火薬の臭いが漂う
外したか。だが、なぜか安堵の感覚を覚えた。
人殺しにはまだなりたくない
次弾装填
カチャッと再び弾丸が装填される。
パーン、二発目……これも外した。
敵は待避していく。草むらを駆け上がって去って行った。
部隊の侵攻により、この沿道の掃討作戦は初期の目的を達し、6月13日に主力は咸寧に。その他の部隊はそれぞれの警備地に戻った。
第3中隊は本部に合流したが、再び警備に着いた。
だが、7月初旬、
※掃討は当時は
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