第6話 『魔力と固定能力』
「私、強くなりたい」
朝食? をとっていると、いきなりそんな
ことを言うクロエ。
「私の夢を追い続けるには、力が必要だって
思ったから」
クロエは、沈んだ表情で、苦笑いをしながら
話す。
……彼女に夢をもう一度持たせた原因は、
僕だ……だから、
「…いいよ、…君が今、どれだけの強さか
僕に教えて?」
最後まで、責任を持って指導していこう。
「ありがとう!私の限界、全部!
教えるね!!」
クロエは元気よく答える。
「じゃあ、僕と模擬戦でしようか!」
「うん!望むところ!!」
それから僕たちは、朝食を済まし、そのまま
家の外に行き、戦闘を行っても問題のない
ような広い空間へと足を進めた。良い感じの
野原が現れ、僕たちは足を止め
「さて、もういつでも始めてくれても
良いですよ?」
僕は、自信満々に答えながら槍を片手に 戦闘態勢に入った。
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(クロエ・アール視点)
(凄い……隙がどこにも無い)
優が宣言してからどのくらい時間が経った
だろうか、私は、まだ動けずにいた。
彼女はただ佇んでいるだけなのに、それだけで、おじけそうになるくらいの威圧感がある。下手に踏み込むと呆気なくやられてしまいそうだ。
「どうしたの? 来ないの?」
優がただ喋るだけで、ビリビリと体が震える
。
(震えるな私!…今の私の全てを出しきるだけなんだから!)
私は気持ちを落ち着け__そして、
「ふっ!」
勢いよく距離を近づけて、剣を振るった。
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(主人公視点)
(うーん、これは……魔法少女Bランクぐらい
はあるかな?)
彼女の斬撃を片手で薙ぎ払いながら、僕は
頭を捻る。
(正直に言えば、剣撃だけならAランクぐらいはありそうだと思うけど……)
それでも、優が知っているAランク魔法少女には、程遠い。
(っ!)
しばらくすると、クロエは今のままでは優にダメージを与えられないと判断し戦闘スタイルを変えてきた。 高速で優の周りを回り、
優の背後に忍び寄り、左足目掛けて切りかかってきた。
「甘いよ!!」
優は刃物を下に自身の左後ろの地面に突き刺し、銅金部分で剣の機動を受け止め、
そのまま________
「えい!」
「あぅ!!」
体制を整えようとするクロエの横腹目掛けて、回し蹴りを放ち、クロエは、その衝撃で勢いよく吹き飛んでいった。
「別に殺す気で、固定能力を使っても良いんだよ?」
態勢を整えていたクロエに、僕は声をかける。
「っ!舐めないでよ!!」
クロエが叫ぶと、クロエの剣に炎がオーラの
ように付与された。________のだが、
「だから!固定能力で戦って良いって!」
「今してるじゃん!!」
「えっ……?」
「えっ……?」
あたりが静まり返る。
「えっ?それは属性だよね?」
「えっ?これは固定能力って……
言われてるけど」
(ちょっと待って!?理解が追いつかない!
……、ん?もしかして教えられてない?
なら、魔力もわからないないよね……)
優は、自分の考えをまとめ、話を切り出す。
「多分なんだけど……それ、固定能力じゃあ
ないよ?」
「えっ……?えええええええええええ!?」
クロエは信じられないといった様子でこちらを見る。
「僕の話が当たっていたら、君のそれは、
『属性』って言うものだよ」
「属性……?」
「属性さえあれば、固定能力が魔法よりじゃあ無くても、魔法を使えるんだ……僕の属性は風だから、……ほれっ」
そう言って、優は自分の手に、小さな風の塊を出した。
「そ、それは、魔女だから、じゃあないの?」
「僕は魔法少女時代から使えたよ」
「そ、そうなんだ………」
クロエはもどかしそうに顔を曇らせた。
そんな彼女のために、
「でも、『魔力』というものを極めれば、
固定能力は手に入れることができるようになるよ」
僕は、『魔力』の存在を教えるのであった。
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(クロエ・アール視点)
優ちゃんからの説明では、魔力とは、己の
自己強化、わかりやすくいうと今なっている魔法少女のエネルギーなのだという。魔力が無くなれば、その場から動けなくなるし、逆に、魔力があれば、普通の人間が生命活動を停止するような攻撃でも擦り傷で済むっというものだった。
「魔力というものが、感覚的にでわかるようになれば、自ずと固定能力も手に入るよ」
(……し、衝撃の連続だけど……)
私は、確信していた。
「魔力ってものを、理解すれば……私は、
もっと、強くなれるってことだよね!!」
「うんうん、そういうこと」
ビシッと指をさして答える優ちゃん。
そんな彼女に、私はすかさず質問する。
「はい!魔力というものを感じるコツ……
みたいなのはあるのでしょうか!!」
「う〜ん……その属性によるんだけど……
一般的には、風のような?塊が渦巻いているものを、何かしらの形で見るらしいんだけど、それが自分の魔力で、大きければ大きいほど
自分の保有する魔力が多い証拠らしいよ?
……もし、その塊を見ることが出来れば、
バトルを通していくうちに、魔力の使い方が分かるようになるらしい!」
「…えっ……?」
「うん?どうかした?」
優ちゃんが不思議そう様子で私を見つめている。
「……ううん、なんでもないよ!…
それより、早く、続きをやろうよ!」
私は、何事もないように振る舞い、心配させないように取り繕った。
(本当に、あれが私の魔力なのだとしたら……いや、もう一度見てから考えよう)
私は考えることをやめ、模擬戦の続きを
始めるのであった。
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ちょっと文章の表現を変えてみました。
次回は 残酷表現を付けておきます。
第7話 『魔法少女 アイリス・クレール』
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