二回戦【02】『とりあえず錬成してみよう』
HP:85/85 MP:35/35
おー、食って寝たらステータス全回復してる。
って、ちょっと数値上がってないか?
まさか、あのカ◯リーメイトにそんな力が⁉︎
いや、ないない。これはあの美少女とのバトルに勝った結果だろうな。
にしても、チャチャチャッ、チャチャチャッチャーン♪ とかの効果音もない訳?
まああっても、きっとムカつくと思うが――。
なるほど、俺自身という個体には、レベルアップの概念はないって事なのね。
あっ、なんか枕元に黄色い箱が。
ていう事は、無事メンテは明けて――ってただのクソ運営の居留守だった訳だが――ログインボーナスは配布されたらしいな。
予想はしていたが、またカ◯リーメイトか……。
しかも昨日のチーズ味からフルーツ味に、微妙に変化してるとこがカンに触るわ。こりゃ明日はチョコ味だな。
とりあえず食いながら、今日はスキルを確認しよう。
――スキル表示!
えっと、なになに……。
スキル:『創造:LV4』『錬成:LV4』『洞察:LV4』
ここまでは確認できてたんだよな。それから……。
『探索:LV4』『索敵:LV4』『隠密:LV4』『射撃:LV4』『回避:LV4』
うわ、薄々分かっちゃいたけど、見事に魔法系のスキルゼロだわ。
しかも、なんか俺サバゲでもするんですか、ってスキルで埋め尽くされてんな。
まあこれまで、『剣と魔法のファンタジー』と『異世界』を、さんざんバッシングしてきた俺だから無理もないか……。
とはいえ、いざ異世界来てみると、リアルのみで立ち向かうのって結構キツイわ。
あっ、今気付いたけどスキルのレベルも上がってねえか?
昨日、見た時は全部レベル3だったのに、今日はみんなきれいにレベル4に上がっている。
『創造』や『錬成』とかは使ったからともかく、『探索』とか『索敵』は使ってもないのに、なんでレベルが上がる訳?
――――⁉︎ あれか。スキルの最後のページにあった、
固有スキル:『器用貧乏:LV10』
のおかげか⁉︎
うーん、字面だけ見ると俺の人生そのものって感じで腹立つんだが、これはこれで結構チートスキルじゃないか?
つまりこれって何かのスキルが一定レベルに達すると、それと連動して全スキルが上がるって事だよな。
器用貧乏も極めれば完璧超人とはいったものだけど、ある意味反則技だろ。やっぱ異世界だわ、ここ。
まあいい。とにかく俺はこのふざけた異世界から出るんだから、チートでもなんでも使わなけりゃ損だ。
とりあえず魔法が使えねえ俺にとって、武器を錬成するのがベストだってのは、あの美少女とのバトルで分かった。
なんとなく感覚で掴んだんだが、『創造』ってのは設計図で、『錬成』ってのはそれを作り上げる技術に違いない。
もう消えちまったが、あの時、俺がとっさに錬成したのはM36っていう拳銃だ。
なんでM36だったかっていうと、ゴ◯ゴ13の愛銃だからだ。やっぱり漫画の知識は身を助けるわ。フンス。
とはいえ、あれはそれほど威力のない38口径で、しかも装弾数が5発だ。
もしこの先、もっと強い敵が出てきたら、正直キツイだろう。だって俺、ゴルゴさんみたいに強くないしね。
そ、こ、で、スキルレベルも上がった事だし、今日はもうちょい強めの武器を錬成してみよう!
希望はラ◯ボーのM16みたいなアサルトライフルだけど、レベルが1しか上がっていないから、たぶんまだ無理だろう。
ならハンドガンでも、M36より装弾数がめっちゃ多いやつにしよう。
候補はいろいろ浮かんだが、俺が選んだのは、数々のガンアクション作品で主人公が使ってきた――ベレッタM92Fだ!
これなら弾丸も9ミリ弾で、まあまあ強力だし、装弾数も15発と多めだからね。
さーて、いけるかな。『錬成』ーっと!
おお、できたよ。なんか心なしか重みに欠ける気がするけど、とりあえず撃ってみるか。
本当は壁に撃ちたいところだけど、この回廊って壁だらけだから、万が一跳弾して自分に当たったりしたらシャレにならない。
だからもと来た道に向かって、ちょっと舘◯ろしを意識して片手撃ちなんかしちゃったりして――。いざいざ!
――パーン! ガシューン!
って、フンギャー! ブローバックしたスライドが後ろに飛んできたー!
ゼー、ゼー、ゼー。ま、マジであぶなかった。
真面目に両手撃ちしてたら、これ完全に顔面ヒットしてたわ……。
うわっ、銃身もひっしゃげちゃってるじゃん。
こ、これは間違いなく不良品だ……。
クソッ、誰だこんなの作ったやつは⁉︎
…………はい、私でーす。
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