第59話 嵐の巨人
俺とおやっさんでストームジャイアント。
そしてタマミとリンとミナでアジ・ダハーカに当たる。
エンジュは邪魔にならないところで口を出す役目だ。
俺たちがストームジャイアントと対峙。
油断なく向き合っていたら。
突如、話し掛けられた。
「小さい者よ。手加減はせんぞ……。契約により、全力でお相手致す」
……この巨人、喋れるのか。
ちょっと、驚く。
「喋れるんだな、アンタ」
「無論。ストームジャイアントを知性の無い他の下級の巨人族と一緒にするな」
なんか強い口調で否定された。
言われてみれば……すっげえ理知的というか。
よくみると、結構ダンディというか。
整った顔立ちだし。
このストームジャイアント。
髭も剃ってるしな。
「……何でアンタ、ここで宝箱の番人なんてやってんの?」
「生前の希望で、無限に戦える身体が欲しいと願いつつ一生を終えたら、こういう状況で召喚される立場に収まった」
……なるほど。
「つまり、今のアンタはアンデッドなのか?」
「いや、そうではない。魔人に近い存在だと思ってくれ」
……なる。
バトルジャンキーも、極めると精霊みたいな存在になれるのな。
良いこと聞いた……のか?
「まあ、こちらこそよろしくというか……満足できるように心がけるよ」
「同じく。全力で仕合わせて貰うとしよう」
そんな、俺とおやっさんの返答。
ストームジャイアントはそれに応えるように、両手で5メートル近い刀身があるグレートソードを下段に構える。
それ、絶対振りにくいよな。
……アンタの身長がまず5メートルはあるし。
そこにそれで。
……天井が8メートルで……。
なんて、思っていたら。
「油断すんな! そいつら魔法として雷や風を扱えへんねん!」
えっと……
「息をするみたいに、雷と風を操りよんねん!」
エンジュのサポート。
ギリギリ間に合った。
……次の瞬間に、ストームジャイアントが、その口腔内部に雷を発生させ、雷を吐き出して攻撃してきたからだ。
左右に散って回避する俺たち。
「……当たらなかったか。よく調べている仲間がいるのだな」
感心しての、一言。
それに俺たちは応じた。
「俺の自慢の仲間だよ」
「じゃのう」
俺たちは殺し合いをしつつも、笑みさえ浮かべて向き合っている。
さっきの雷、直撃を受けたらかなり深刻なダメージを負うものであったんだけど。
すると
ストームジャイアント、下段の構えから横薙ぎを繰り出して来た。
……油断ならねぇ。
武人だな、アンタ。
俺はその横薙ぎを身を沈めて躱そうとした。
だけど
おやっさんは、その斬撃に魔神の戦斧の一撃を合わせた!
……高い音がして。
ストームジャイアントの剣が、半ばでポッキリ折れてしまう。
剣を折ったのは、おやっさんの魔神の戦斧の一撃。
ストームジャイアントは、驚いていた。
「……やるな」
そう言いつつ、折れたグレソを投げ捨てる。
「……ワシの自慢の斧の一撃じゃよ。ええと……」
ここで、おやっさん。
多分、名前を聞いていないことに気づいたのか、詰まる。
そしてそれを察したのか、ストームジャイアントは
「俺の名前はジュピターだ」
名乗った。
それを受け
「うむ……分かった。ジュピター」
おやっさん。
ストームジャイアント改め、ジュピターが俺たちに名乗ったので。
「俺はタケミ」
「ワシはダラクデルグ」
こっちも名乗る。
礼儀だろ。
「良かろう……では、続きといこうか」
ジュピターは徒手になっても全く怯まず。
むしろ楽しそうに。
その両手を構えた。
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