第43話 ワイトたちと
ワイトは活力を吸い取る能力を持っている。
具体的に言うと、若さを吸い取るというか。
これをエナジードレインと呼ぶのだけど。
こいつらに素肌に触られると、1秒あたり約1カ月老いるのだそうだ。
俺が今、28才だから。
70まで生きるとして。
約42年分の余命がある。
そして12秒当たり1年老いる計算だけど。
厳し目に見て、10秒で1年で計算して。
そうすると……
俺の寿命が尽きるのに、約420秒。
つまり約7分くらいか。
……まあ、集団で抑え込まれたら終わりだわ。
個人なら相手にならなくてもね。
気をつけないと。
「よっ」
俺は、迫ってきているワイト4体を続けて斬り捨てた。
水月突き刺し、真向上段、逆袈裟、再度大上段。
……型の技を思い出すなぁ……
阿修羅のモードは火炎の相に切り替えている。
アンデッドには炎が有効だからな。
「おお、良い腕じゃのう。タケミ」
おやっさんは、新しく入手した勇者の遺品「魔神の戦斧」を嬉しそうに振るっている。
あのおやっさんでも軽々と振るえない超重量。
……まぁ、そういう魔斧なんだが。
おやっさんは戦斧を引き摺るように持ち運び、敵が来たらその重さで叩きつけるようにして斬っている。
……あれは受けが通用しないわ。
たった今、頭頂部から股間まで真っ二つにされた男のワイトの末路を見、強くそう思った。
避けるしかねぇ。
でも、避けられない様に、エンジュとタマミがサポートしてんのよな。
エンジュはしょっぼい魔力の矢を撃って気を逸らしているし。
タマミは新兵装の無尽の矢筒から、燃える炎のボルトを取り出し、正確な射撃を披露している。
別にワイトにしてみれば、うっとおしいだけで致命打には成り得ない攻撃だけど。
邪魔なのは間違いないわけだし。
そこで気が散ったところに、おやっさんの一撃だ。
……効率よく、狩られていく。
そしてミナは
「テラス ギフエンス ジエルノ ジンラ ローミル!」
第3位階の法力魔法・聖光を唱えて。
全身で発光して周囲を明るく照らしていた。
……アンデッドには高圧電流に感電したようなダメージを与える有害な光を。
この光を浴びて、抵抗に失敗するとアンデッドは動けなくなる。
その隙に……
ミナは、ヴァルキリーソードで縦横無尽にワイトたちを斬り捨てていく。
ヴァルキリーソードはアンデッドに特攻だものな。
みるみる数を減らしていくワイトたち。
俺たちはそれだけでも楽勝モードだったけど。
そこに
端から順に、首が落ちたり、胴体が切断されたり、腕が飛んだり。
……リンの十束剣。
彼女の武器は、1度に10体相手できるから。
こういう集団で襲って来る相手には相性がいい。
ありがたい……
そうして。
人間からワイトへ転生させられたビーン一族は。
残らず倒され、ついに根絶やしになった。
「……さて、いくか」
俺たちは先に進む。
この先に待つのは、これ以上に危ないやつらなんだから、気を引き締めないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます