第40話 はっきり言って危険人物だし
「では、6人の勇者の聖遺物を下賜する」
俺たちの意思を確認し。
陛下はそう発言した。
……300年前にこの国を救った6人の勇者の遺品のことか……。
俺はその陛下の言葉を聞き、興奮してきた。
そして、家臣の方々の手で複数の物品が運ばれてきたんだ。
……このときばかりは、興奮で一瞬、ここが謁見の間であることを忘れそうになる。
それぐらい、マジックアイテムを見るときはアガるんだよな。
運ばれてきたのは……
奇妙なコートみたいなもの。
ダイヤモンドが中央に嵌った流線型の盾。
悪魔の意匠が描かれた両手持ち戦斧。
燃えている矢が入っている矢筒。
お屋敷の絵。
そして青い宝石の嵌った、太陽の意匠が入った指輪。
「これは……?」
俺は思わずそういう言葉を洩らす。
すると、家臣の方々から解説が入った。
「では、解説致します」
まず、奇妙なコート。
これの名前は「戦鬼陣羽織」
侍の装備で、甲冑の上から着るそうだ。
装備すると、麻痺と石化、冷気を完全に防ぐ。
次に、ダイヤモンドが中央に嵌った流線型の盾。
これは「金剛石の盾」
戦士、侍、聖騎士の装備。
竜種の攻撃のダメージを半減させ、石化攻撃を防ぎ、そして無限に使える回復魔法が込められているらしい。
そして悪魔の意匠が描かれた両手持ち戦斧。
これは「魔神の戦斧」
戦士の装備。
物凄く重い魔法の斧。重さは必ず持ち手が「重い」と感じるレベルになる。
その重さで、クリティカルヒット能力が身に付く。そして攻撃が入るものは全て斬れるそうだ。
……実質、劣化版の無双正宗かな?
燃えている矢が入っている矢筒。
これは「無尽の矢筒」
燃える矢が無限に出せる矢筒。
この矢はボウでもボウガンでも使用できるらしい。
お屋敷の絵。
これは「絵の屋敷」
入ろうと念じると入れる屋敷の絵。1度に2人入れる。
外の1分が中では1日になる。休憩に使える。
ただし、中に人が入った状態で絵が破壊されると中の人間は
青い宝石の嵌った、太陽の意匠が入った指輪。
これは「魔力の指輪」
嵌めた人間は第1位階の魔力魔法を無限に使えるようになる。
その際、印を結ぶ必要も、魔法語を唱える必要すらない。
念じるだけで発動する。
ただし、その威力は本人の才能に依存するとのこと。
……どれも確実に20万ゴルド以上の値段で売れる幻の逸品だな。
間違いない。
それらを陛下は下賜された。
……それくらい、陛下はこの事態を重く見てるんだな。
じゃあ、ブラケルの再臨は真剣にこの国の危機なのか。
「すごいですわ! 陛下! ありがとうございます!」
「……この戦斧はワシに任せてくれんか?」
「タマミはこの矢筒が欲しいかな……良いよね?」
ミナとおやっさんとタマミが食いついている。
ミナは盾。おやっさんは戦斧。タマミは矢筒にご執心だ。
……まあ、そりゃそうだろうね。
リンは……興味無さそう。
まあ、彼女はバルログを倒すのに一番都合がいい武器をすでに持ってるからな。
無限に分裂を繰り返すバルログを、一度にまとめて倒せる武器を。
エンジュも興味持ってるけど、彼女の場合は学者としての知識欲だから。
実用性を求めているメンツとはベクトルが違うわな。
エリオスは……なんか複雑だ。
本来なら、魔力の指輪を与えられるべきは彼なんだけど……
彼は今、パーティープレイが無理な状態だからな。
しょうがないよな。
……陛下の意思に反するのは、少し冷や汗は出るけどな。
まあ、そこはエリオスの自己責任だ。
それで処罰されたら、それはそれでしょうがない。
……まあ、ぶっちゃけ。
エリオスの実力なら、国外逃亡は余裕でできると思うし。
あまり心配はしていないんだけど。
だってさ……
魔法で転移できる。飛行できる。
そして追い込まれたら「閃光業火」を使って来る。
……できるだろ。その気になったら国外逃亡。
ハッキリ言って、能力だけ見たら危険人物だし。
……でも、彼とはだいぶ長く付き合ってるし。
実はこの街に来る前からの付き合いだ。
だからまあ……そうなったら、嫌だわな。
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