第8話 たった1人のダンジョン探索
えーと、ハイポーションは5つでいいか。
毒消しは必須だわな。4つくらいあればいいかね。
……麻痺と石化は掛かった時点で終わりだから、装備で防ぐのが良いな。
……何が良かったんだっけ?
こういうとき、エンジュがいると助かるんだけどな。
学者は色々解説してくれるから。
エリオスでも鑑定はできるけど、その物品の名前と、それにどの程度強力な魔法が掛かってるかくらいしか分かんないからな。
それすら出来ない俺が文句言う資格ねーけどさ。
どうするか……
しばらく考えて。
結果、俺はこうした。
「なぁ、店主」
「なんすかお客さん」
ドワーフの店主が俺の声に応えた。
……アシハラ商店。
アシハラ王国城下町の唯一の冒険者御用達の店。
王国お墨付きなので、屋号に「アシハラ」が入ってる。
冒険者は、迷宮で得た戦利品をここで売り払い、換金するのだけど。
ここには迷宮で掘り出された重要アイテムが商品として並んでいるわけだ。
で。
ここの店主、有料で鑑定もしてくれるんだよね。
かなり割高なんだけどさ。
俺はさ
……この店主、学者なんじゃないの?
そう、踏んでるんだけど。
どうなんだろう?
だから
「……麻痺と石化を防ぐ装備って無いかな?」
そう、訊いてしまった。
多分知ってるだろうという予想をしつつも。
すると
「ありますよ」
店主の返事。
おお!
俺はテンション上がったけど、その気持ちを抑えて
「……どんなので?」
訊くと
店主が、奥に引っ込んで
「これですわ……光の杖」
豪華な装飾の付いた、魔術師か司祭が持ちそうな杖を持ってきた。
……それは流石に
無いわ。
嵩張り過ぎる。
しょうがないので。
麻痺と石化は気を付けることにした。
幸い、最下層はこれまでに何回も潜ってるし。
あそこで遭遇する魔物は知り尽くしていると……思う。
だから、大丈夫だろう。
どいつが麻痺毒や、石化の呪詛を持ってるかくらいは、知ってるし。
気を付ければきっと大丈夫だろ。
そう思い。
俺は階段を降りて、地下4階を目指した。
……この「魔界の穴」の迷宮は、壁や天井が薄く発光していて。
ランタンや松明が無くても、とりあえずは視界は利くのよな。
そこは、戦闘員としてはありがたくはあるんだよ。
手ェ、片方塞がったりしないし。
これが無かったら、もっと攻略しにくい迷宮だったろうな。
俺はただひたすらに地下4階を目指した。
地下4階まで下りれば、最下層である地下10階に通じる直通エレベーターを使用できるから。
……地下4階……。
本来は、魔獣が主に徘徊するフロア。
ヘルハウンドとか、バイコーン、キマイラやヌエが主な相手。
手に入る宝物は大したことは無いけど、素材はそこそこ稼げる。
そんなフロア。
(おやっさん、素材を狩って目途がつくまでは食っていくって言ってたけど)
ここらへんで仕事をすることになるのかなぁ、おやっさん。
そう、昔の仲間の今後の動向に思いを馳せ。
つらつらと暗い石畳を歩いていた。
そのときだった。
「イヤアアアアア!」
……女の悲鳴が聞こえて来たんだ。
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