大都会東京シティ③
実に数年振りの実家です。
驚くほど長閑でした。
けれどテレビから流れてくるのはコロナの事ばかり。亡くなった著名人の方のお名前がずっと流れていたような気がします。
都会ほどではありませんがコロナは田舎でも怖がられていました。
それはそうです、私の田舎はとにかくご老人が多いので医療機関は厳戒態勢といっても過言ではありませんでした。
ただそんな殺伐とした空気の中でも感染さえしていなければ日常は当たり前に過ぎていきます。私は久し振りに時間に追われる事のない緩やかな日々を過ごしました。
そうして二ヶ月ほど過ごし、私は東京に戻るのです。
戻った東京はやはり静かでした。
新宿も渋谷も人が少なかったように思います。普段は歩く事にも気を遣う場所ですが、その日は自分のペースで歩けた気がしました。それくらい人がいませんでした。
東京に戻っても仕事はありません。まだまだ先が見通せない状態で私は一人の人を頼ります。
その出会いが私の運命を大きく変えました。
本当に大きく変わりました。
軽く書き連ねるととんでもない豪運だと思われるかもしれません、当時の私もそう思っていました。世界が自分を中心に回っているのではなんて浅はかにも思った時もありました。
事業を立ち上げ、私は一度だけ「社長」というポジションに立ったことがあります。
全て当時関わっていた人達が用意してくれたポジションでした。私は何もしていなかったような気がします。
夢を語って、それをいいねと言ってくれる人がいて、それならここでまずは予行練習をしてみよう。そんな流れで私は一つの会社を手に入れました。
手に入れたなんて言ったら大袈裟ですね。
用意してもらった、それがしっくりきます。私は何も知らない愚かな人間でした。それは今も変わらないと思います。
結果からいうと私はその会社を数ヶ月で手放します。半年もなかったんじゃないかな。
理由は私の能力不足でした。それに尽きます。
反省すべき箇所は上げたらキリがないほどありますし、今もそのことを思い出しただけで息がし辛くなります。
この頃私は心身共に限界を迎えました。
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