第3話 主人公の名前を決めて、能力値の説明を聞いたよ

『主人公の名前を設定しますか? デフォルトネームは<リリア>です。一回目の名づけは無料ですが、ネーム変更をする場合は有料となります』


有料多い!! 名づけに失敗しないように気をつけよう。

主人公の名前はもう決めてるんだ。私の本名は『渚』だから『ナギ』にする。


『主人公の名前は<ナギ>ですね? よろしいですか?』


はい。


『主人公の名前は<ナギ>になりました。それではボイスの設定をしてください。公式汎用ボイス女主人公用を使用する場合は無料。それ以外は有料となります』


私は女主人公を選んだから公式汎用ボイス女主人公用をすすめてくれたのかな。お金を掛けずにプレイするつもりだから公式汎用ボイス女主人公用を使用します。


『公式汎用ボイス女主人公用を使用ですね? よろしいですか?』


はい。


『プレイヤーの意識をマイキャラに組み付けします。作業中……』


声優さんの声がそう言った直後、視界が歪んだ。眩暈がする……っ。


『組み付け完了。不具合があれば申告してください』


意識だけの存在だった私が、データという実体を得て白い地面に立っている。

裸足で、床がほんのり冷たいと感じる。白い足。爪も描かれている。でも、リアルじゃない。アニメ絵が3D化した感じ?


『ナギさん。声を出してみてください。自分の名前を言ってみてください』


「私の……っ」


自分の口から自分じゃない声が出ているのが不思議でびっくりして、私は言葉を切る。


『ナギさん。何か不具合がありますか?』


『不具合とかじゃなくて、あの、自分の声じゃないからびっくりして。あ、私の名前、ナギです』


今さらながら、自分の名前を口にする。違和感がすごい。でも可愛い声なのは嬉しい。

私の声って少し低めだから、実は可愛い声にちょっとだけ憧れているんだ。


『身体を動かしてみてください。右手を上げて』


言われた通りに右手を上げる。

ついでに左腕も上げて、ジャンプしてみる。うん、動ける。


『ナギさんが右手を上げたことを確認しました。次にマイキャラの初期ステータス値を決定します。能力値はランダムで決定となり、やり直しはできません。<能力値スロットスロットマシーン>ON』


アナウンスが<能力値スロット>ONと言った直後に、私の目の前にスロットマシーンが現れた。


『HP/MP/力/技/速さ/運/魅力の数値をスロットマシーンで決定します。各種能力値の説明は必要ですか?』


「お願いします」


能力値のことはVRMMO『ディメリア迷宮を踏破せよ』の公式サイトをざっくりと見てわかってるけど、一応聞いておこう。

私はゲームのチュートリアルは真面目に受けるタイプのプレイヤーだ。


『HPは体力を意味します。HPが0になった瞬間に死亡、ゲームオーバーになりますのでご注意ください。マイキャラが死亡した場合、課金することで所持金/装備品/ストックに入った所持アイテムは次回プレイ時に持ち越すことができます』


「課金しなかったらどうなるの?」


『マイキャラの所持金/装備品/ストックに入った所持アイテムは消失します。失くしたくない所持アイテムはNPCが運営している荷物預り所に預けることもできますが、死亡したマイキャラと全く同じお名前と容姿で周回プレイの場合以外は受け取りができなくなります。ご注意ください』


「死亡したマイキャラと全く同じお名前と容姿で周回プレイの場合は受け取ることができるの? なんで?」


『NPCは死亡前のマイキャラと死亡後のマイキャラが同一人物だと認識するからです。ストックに入った所持アイテムを引き継いでいない場合は預かり札紛失で、保証金の返還がなくなります。詳しくはゲームのプレイを始めて<荷物預り所>を見つけ、店主から説明を聞いてください』


「わかった」


『MPはスキル使用の時に必要となります。MPは各種回復アイテムや料理の他、時間経過でも微回復します。スキルは<ディメリア迷宮>の宝箱から得られる<スキルスクロール>を使用すると使うことができるようになります。<スキルロール>はスキルスクロール屋で売買することもできます』


「HPは時間経過で微回復しないの?」


『HPは時間経過で微回復しません。続いて<力/技/速さ>能力値の説明をします。こちらの能力値は武器や防具等の装備品を装備する際に必要になります。例えば<忍びの服>であれば速さ能力値が100必要となります。能力値が足りないと装備は不可です。攻撃力はスキル攻撃力か武器攻撃力が参照されます。プレイヤーの攻撃力が敵の防御力を上回るとダメージを与えることができます』


「プレイヤーは防御力を上げていれば敵からのダメージは受けないっていうこと?」


『はい。ですが、装備品の耐久値は減っていきます』


「修理はできないの?」


『それは街で鍛冶屋等を探して店主に尋ねてみてください。続いて<運>能力値の説明をします。こちらの能力値は敵ドロップアイテムの確率や宝箱の中身、それに各種状態異常にかかりにくくなるという効果等があります。<運>能力値が低い場合にのみ発生するイベント等もありますので、こちらはお好みで能力値を上げてください』


「<運>能力値をプレイヤーの任意で上げたり下げたりできないの?」


『イベントで<運>能力値が上下したり<運>能力値を上下するアイテム等がありますが、任意で上げ下げはできません。続いて<魅力>能力値の説明をします。こちらの能力値はNPCとの関係に影響します。<魅力>能力値が高いと恋愛対象のNPCから好意的に見られるようになります。NPCの恋愛対象は<異性/同性>の両方のパターンがあります。但し<魅力>能力値が高いとマイキャラと同性のNPCからは敵対行動を取られる場合もあります。お好みで能力値を上げてください』


「可愛いと嫉妬されちゃうんだね。ゲームなのにリアル……」


モテる喜びと苦しみを味わえて面白いかもしれないから<魅力>能力値は上げていこうかな。

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