第8話「学校初日」

私は地図を頼りに学校に向かっていた


この国の学校は初等部、中等部、高等部がありそれぞれ4年合計12年学校で過ごせば卒業となる


また飛び級や、大人になってからも入れるので様々な年齢層がいるのも特徴だ


メリッサは高等部の1年生なので私も高等部の1年になる

卒業まではあと4年なので卒業までずっと護衛になる


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学校に着いて最初に向かったのは校長室だ

校長先生は穏やかだけど威厳がありそうな若い男性の校長だった


「君が今日からこの学校でメリッサ君の護衛として働くシオリ君かね?」

「はい、よろしくお願いします」

「この学校では不自由なく勉学を励んで欲しい

今日はこの生徒会長のニニ君に学校の案内を頼もうと思う」

「初めまして、ニニ・ユズです

気軽にニニと呼んでください」


ニニ先輩が学校の施設の案内をしてくれる


ニニ先輩は特徴がある白髪で私より少し体も胸も大きかった

腰には剣先の細いレイピアが刺さってありいざとなればそれで戦うと思う

が実際学校内でそんなことになることは少ない


「それじゃあ行こっか!」


優しい声でニニ先輩は言ってくれた


早速私はニニ先輩と施設見学に向かった


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最初に私が来たのは教室だ

教室は日本の大学のような感じで教壇に面して椅子がだんだん上に上がっている


その他も日本と同じようなプール、体育館などがあったが日本では絶対に見ないようなものもあった


そのひとつが闘技場だ

ニニ先輩によるとここには結界がはられており中にいる人の受けたダメージを肩代わりしてくれるらしい


また流石東国最大の学校か学校の裏には城がもう一個たちそうなぐらい大きい森があった


これは魔物と戦う時の訓練所になるらしい


訓練と言ってもここに入れられるのは先生や冒険者にやられて弱くなった魔物を入れるのでそとの魔物より弱いらしい


私も入ってみようと思ったがニニ先輩が険しい顔をしながら止めたので入れなかった


多分色々許可が必要になっていると思う


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一通り回ったあと校長室に戻ってきた

校長室に戻った時には日が暮れてきた


「結構広かっただろ?」

「はい、ここまで広い場所は初めて見ました」


校長室に戻った後は校長に用意された複数の契約書のようなものに名前を書いていた


最初にこれを貰った時は言葉はわかるのか書けるのかと思ったが問題なくかけた

家にあった本も思い返せば読めていたし多分称号の転生者の特典のようなものだと思う


全部書き終わる頃にはすっかり外は暗くなっていた


「終わりました〜」

「はい、おつかれ

私が思ったより書くところが多かったようだね

今日はもう遅いから早く帰ることを勧めるよ」

「ありがとうございます、明日からご指導よろしくお願いしますね」


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校長に紙を渡した後、帰ろうと思っていたが今日の晩御飯のことを忘れていた


今から帰って何かを作る気力も湧かなかったので帰り道にあった食堂でご飯を済ませようと中に入った


「いらっしゃい!お嬢ちゃん好きな席に座りな〜」


元気な声が聞こえてきた

私は店主が見えるカウンター席に座った

店主は食堂のおばちゃん見たいな優しい感じだったが

店主はこっちを驚いたように見る


「お嬢ちゃんこんな暗い中一人で来たのかい?」

「はい、お腹がすいてしまって」


私はメニューを探そうとしたけどどこにもなかった

机にはメニューはなく壁にもかけてなかったので何を頼もうか迷っていると


「何が食べたいんだい?」

「何かお腹がいっぱいになるものが食べたいんですけど」

「それなら、グレートウルフの定食なんてのはどうだい?」

「はい、それでお願いします」


グレートウルフ、初めて聞くが多分狼の魔物のお肉だと思う

私は特に食べたいものも決まってなかったのでそれにした


5分ほど待つといい匂いと共に厚切りのステーキとスープ、パンが木製のお盆の上にセットで届いた

お肉には味は着いていなかったけどしっかりとしたお肉本来の味がして美味しかったがスープに塩が入って居ないのか味が薄く美味しいとは言えなかった


これは後で聞いた話なのだがこの世界で塩は料理に使うものではなく1日1回飴玉みたいに舐めるのが主流となっている


私はこのご馳走を食べお金を払い店を出た

ここのお店は店主も優しく1人で来た私のことを心配してくれたり干し肉のお土産もくれた

干し肉は自家製らしく夜食で魔導書を読みながら食べようと思う


私はお腹がいっぱいになり帰るが少し時間が余ってるので街の散策をすることにした

食堂で次に行ったのはアクセサリー店だ前回行った店とは違ってお祭りのように店が並んでいる

思ったより人が多かったが好きな雰囲気なので私は問題ない


「ご飯も食べたしショッピングしちゃおー!」


前世では仕事に追われていて買い物はまともに出来なかったので異世界では楽しもうと思う

アクセサリーは別の店では買ったがもっと色々買いたいので人混みに入っていく


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「迷った…」


気づいたら裏路地のような場所に居た

私は土地勘は良い方なので来た道を戻る

がかなり奥まで来てしまったので時間がかかりそうだ


私は回れ右して戻ろうとした時2人の人影が合った


「すいません、大通りに行きたいんですが道を教えてもらえますか?」


私がそう言った次の瞬間何かが頬を掠めた

私の頬から血が出る

即座に私は振り向き逃げ始める

戦う案もあるが戦って勝てる自信もないので走り出す


とりあえず大通りを目指して走る、大通りなら助けを求められるからだ

少し走った時前に人影が見えた


が長めの剣を持ってるのが見えたので確実に敵だと思う、後ろにも1人追って来てるので確実に追い越してきた人だ


私は立ち止まり腰からから即座に短剣を取り出し

構えを取ると同時に目の前の相手が攻めてくる


相手の武器はよく見るとレイピアのような細長い剣をしており顔には見えないようにマスクを被っている

服は髪まですっぽり覆うタイプのコートで体型はおろか性別すら分からない

相手は突攻撃を主体に戦って来るので私は合わせて避けたり短剣でガードして攻撃の隙をさがす


後ろの人はあくまで私が逃げないようにするためかそれとも奇襲するタイミングを探しているのか立ち止まったままこっちを見ている


私は短剣で攻撃をいなしながら腰から投げナイフを取り出す

ナイフを投げると同時にファイヤーボールを投げる

そしてファイヤーボールの少し後ろに走ってついて行き魔力闘気を纏う、この一撃で倒して即座に逃げる戦法だ

これに失敗すると反撃を確実に食らうので決死の突撃でもある


もしこれで目の前の相手をたおせても後ろの敵が見逃してくれるかは分からないがこれにかけるしかなかった

私はめいいっぱいナイフを振り上げ肩に刺した、、、瞬間

キンっ!

とかんだかい音を出して弾かれる


急いで刺した所を見ると鉄のような物が入っていて弾かれてしまったのだ

右手は痺れていて動けず左手で覚えたての魔法を使おうとするも極度の緊張か上手く飛ばずにそのまま落ちてしまった


レイピアが私に向かって降ってくる

私はだんだん遅くなっていく刃をただ見ることしか出来ずに死を待つ


「そこまで!」


文字通り目と鼻の先の場所まで来るとレイピアが止まった


「全く君も性格が悪いね」

「先生が殺しに行くつもりで行きなさいって言うからでしょ〜!」


さっきの殺意とは打って変わって明るい会話が聞こえてくる


「試すような真似してごめんね〜」


コートを脱ぎながらこっちに向かって話かけてくる

最初に見えたのは綺麗な白髪、コートを脱いだあとにマスクを外して見えた顔は今日一緒に学校を回ったニニ先輩だった


もう1人は誰かきになったので後ろを見ると校長だった


「シオリ君どこか安全話せる場所はないかな?」


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この世界でお茶っ葉は見つからなかったので

私は適当にフルーツの葉っぱを乾燥させてお湯を入れただけのお茶だ


それにお湯と言っても水魔法はまだ使えないのでアイスランスを少し出してからファイヤーボールでちょっとずつ鍋で溶かすという地道な作業の末にできたお茶だ


これを魔導書を読みながらのんびり飲もうと思っていたがまさか人に出す日が来るとは思ってもいなかった

コップは備え付けがたくさん会ったので軽く洗ってからお茶を入れて出す


「わざわざありがとう〜」

「わざわざお茶を出してくれるとは思ってもいなかったよ、シオリ君早速なんだけどなんで襲ったかの説明をさせてもらうよ」


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お茶を飲みながら説明を要約すると王女の護衛としての実力を簡単にテストしたかったらしい

私は決闘場もあるしそこでやればいいって思ったけど校長先生いわくいつ襲われるか分からない状況での対応力を知りたかったらしい


「それにしても思ったより応用力が強くて驚いちゃった、あのファイヤーボールと一緒に突撃してくるのは対応出来なかったし、鉄板がなかったら確実に死んじゃってたよ〜」

「いやいや、もし本番だったら後ろから刺されてますよ、ニニ先輩も思った以上に強くて驚いちゃいましたよ」

「こほん、反省もいいけど今後の話を私からしてもいいかな?」


私とニニ先輩は校長のに向き直した

今更なんだけど校長の名前も気になって来たので明日ぐらいに聞こうと思ってる


「シオリ君の戦闘能力は予想以上だけどちょっと飛ばしすぎるところも多い

これから放課後は戦闘訓練と実戦訓練を繰り返しでやっていこうと思う」

「校長、実戦訓練はどうやって行うんですか?」


私は素朴な疑問をぶつける


「それは近場の盗賊団を潰して回るんだよ

治安の維持にもなるし訓練にもなる一石二鳥だろ?」


盗賊団という単語を聞いた瞬間にサプライを思い出したが近場と言えるほど近くも無いし国と協力体制を組んでいたはずなので心配はしない

けど盗賊団を潰すということはさらに人を殺すことになるが私の覚悟はとっくに決まっている


私の異世界生活を盗賊ごときに壊されたくない一心で戦うと決めた


「ついでにこのお茶を少し貰ってもいいかな?」


結局ニニ先輩と校長にコップ1杯分ぐらいの茶葉を入れて渡した

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