第七週~第九週① 隠れた名作

 熱狂度として★5が最高です。


「宇宙の果ての夢の淵」作者:紅瑠璃~kururi ★★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330652404585856 )


・SFというものは科学的な道具立てをするファンタジィと言えるかもしれませんが、いっぽうでSFを越えたものを表現するためにそれを破綻させつつ、利用することもできると思います。人間が理性で解決し得ない問題を掬い上げて、より深いものを表現するようなものでしょうか。そういう面白さが本作にはあります。



「ようこそ Light Houseへ」作者:大田康湖 ★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330660313761401 )


・いま・ここではない世界を映し出すのもSFの世界です。たとえばこの星ではない世界で人々がどのように生きていてどのように暮らしているか? そうした想像力を伸び伸びと使っている作品です。そこに人間のリアリティと実体を感じるのは小説の面白さでしょう。端正な文体もまる。またSF的なディテールもきちんと書けていて好印象でした。



「蛇蝎のごとく【短編】」作者:さえ ★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330655107569255 )


・90年代の某有名SF映画のプロットそのものですが、安心して読めるという意味で推します。構造はまさにと見抜いてしまえばそれなのですが、それを匂わせなかったという点で十分上手いと感じました。すこしホラーチックな終わり方も良かったですね。



「塩基配列の夜」作者:清水らくは ★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330661563509615 )


・バイオ系のSFです。ゲームを通してSFを感じるのはネット小説ならではと思います。また科学的な考察面がしっかりとしており、読み応えがあります。ふたりの優秀な登場人物の光と影を堪能して頂きたいです。



「レリックコレクター」作者:深海くじら ★★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330653860778724 )


・後に続く連作短編の原点の作品です。連作短編形式というものが下読みには評価されにくいという理由から他のこの作品から続く作品は推せなかったのですが、この作品は原点にして他の作品の良さを含めてしっかりとアピールできていると評価します。思わぬアイテムが謎を突き止める展開が面白く、連作短編集である「ジ・エンド・オブ・シヴィライゼーション」( https://kakuyomu.jp/works/16817330659104235379 )もチェックすると面白さ倍増です!



「無敵の夏祭りの心得」作者:汎田有冴 ★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330652847500693 )


・宇宙人が夏祭りに来る、ベタだけど味わい深く何故か読んでしまう作品です。宇宙人の描写もほんとうにベタですが、お話の面白さで推します。また憎めない世界観がよかったですね。



「¿ Billie Jean and 00 ?」作者:六塚 ★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330658280037682 )


・荒々しい文体で読む人を選ぶ作品だと思います。しかしお話の大筋は自分を孤独に追いやったヤンデレAIに復讐するというシンプルで力強いお話で、読めば読むほどに引き込まれる面白い作品でした。バディの健康管理AIのqyXxケイキスのキャラクターなど見るべきところはあります。特に人間でも機械でもヤンデレは怖いな~~と思うところでしょうか。



「信長病」作者:真里谷 ★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16818023211834046132 )


・信長になってしまう疫病、信長病というワンアイデアがくだらなくて面白い作品です。ありとあらゆるものが信長と化してしまう、そういう力強いアイデアに結実していくそのパワーに一票を投じたいと思います。また時々、意味深に挿入される数学の説明も面白い要素でした。



「灰色の魔法使いに憧れて」作者:五色ひいらぎ ★★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16818023211914819644 )


・伝染病の流行で直接接触できない世界、老人はあるものに憧れていたという設定です。よく考えてみればそうなのですが、直接接触できないということは本物のものとは距離を置かざるを得ないのです。そういう未来世界の雰囲気がよく描かれていました。有名なファンタジー映画が出てくるのでファンタジー映画が好きな方にもおすすめです。



「ジェネレート」作者:因幡雄介 ★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330668979400501 )


・生成AIが話題になった昨年でしたが、SFの世界にも生成AIの話題を取り込んだ作品は少なくありません。この作品もそういう意味で生成AIモノです。AIによって生成された人間達がデスゲームを行うという話のようです。世界ではあらゆるもの(ここでは銃など)が、生成できるというアイデアが面白かったです

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