第2話 入院


 目を覚ますとそこは知らない天井-ーー

 って本当に知らない天井だった。

 とりあえず上体を起こして周りを見てみるとここは病室のようだった。

 なんでこんなことになっているのだろうか、思い出してみると車に轢かれそうになってた女の子を助けてその後意識がなくなったんだよな。

 色々と考えているうちにトイレに行きたくなり立ちあがろうとするが左足に痛みが走り動かない。

 あれ、これは骨折してるやつじゃ…。

 状況が読み込めずベットの上で呆然としていると、叔母が病室に入ってきた。


「優!やっと目を覚ましたのね…。心配かけるんじゃありませんよ?」

「渚さん、ごめん。

 ところで俺はなんで病院にいるの?」

「覚えてないの?学校近く道路で車に轢かれたのよ。まぁ轢かれたのは足だけで、気を失ったのは受け身に失敗して頭を打ったかららしいけど。念の為2、3日入院したら退院できるらしいわよ」

「そうなんだ…。入院か。

 渚さん来てくれてありがとう」

「私はは着替えとか取りに行くから一旦帰るわね」


 そう言って渚さんは病室から出ていった。

 轢かれたのはなんとなく覚えてたけど足だけだったか〜、入院するらしいけど補講に行かなくていいのはラッキーだな。まぁ課題が溜まるって後からやらされるんだけど。


 そういえば、あの時見えた光景はなんだったんだ?一瞬視界が暗くなったら変な映像が頭の中に流れて、それが終わったと思ったらそれと同じことが実際に起ころうとしていた。今までこんなことはなかったのに、なんだっていうんだ。

 俺が行かなかったらあの子は車に轢かれていたはずだ。あの変なお婆さんに関係があるのか…?

 どうやったら力が発動するのか、試しに目に力を入れてみたり、集中して一点を見つめてみたりするが何も変わらない。

 どうにもならず諦めてスマホを見ると友人の相馬翔太から連絡が来ていた。


『なんで休んだんだ?もしかして、学校の近くで事故あったの優か?またなんかやったのかよー』


 心配してくれて嬉しいけど、どこか馬鹿にしてるような気がしたので返信はしないでおこう。

 まぁやること無いし退院するまで大人しくしておくか、寝よ。


 せっかく休みになったのだから頭を空にしてゆっくりすることに決めたのだった。




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未来が見えるようになったが、トラブルからは逃げられないようだ。 @alfa_ron

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