未来が見えるようになったが、トラブルからは逃げられないようだ。
雨ノ千晴
第1話 未来が視えるようになった
茹だるような暑さのなか、夏期補講のため学校へ向かう俺は、
「あーだるいなー。帰りてー」
同じ学校の生徒がちらほらと通る通学路を1人歩きながら、学校に対する文句を呟いていた。別に友達がいないから1人で登校して、独り言を呟いているわけではない、朝は1日で登校したい派なのだよ。
ぶつくさと言いつつ歩いていると、学校までもう少しといったところまで来た。
すると嫌なものが目に入る。何やら重そうな荷物を背負ったお婆さんがいるが、皆が横を通り抜けていく。はぁ、仕方ないか。
「お婆さん、お荷物重そうなので、俺が持ちますよ?どこまでですか?」
「あ、ありがとうね…。そこのバス停までお願いできるかい?」
「任せてください」
うわっこれ結構重いなー。お婆さんは、よくこんな重い荷物を持っていたよ、すごいな〜。
バス停まで運ぶとすると遅刻確定だな、まぁ仕方ないよな。
しばらくお婆さんと世間話をしながら歩いているとバス停に着いた。
「優しい少年、ありがとうね。あなたに幸運が訪れることを願います」
「えっ?え?」
お婆さんは、いきなりよくわからないことを言ったと思ったら俺の額に手を触れまばゆい光で光った刹那その場からいなくなっていた。
一体なんだったんだ、幽霊とか?てかこのバス停神社の目の前にあったんだ。
呪われたとかじゃないといいけど。
今から急いで学校へ向かえばギリギリ間に合うため、早歩きで学校へ向かう。
「うわっ!なんだ??」
学校の前で信号待ちをしていると、急に視界が真っ暗になった後、映像が頭に流れてくる。
俺の今いる信号、青に変わり信号を渡っている。後ろから横を通り抜ける女の子。その横から目の焦点の合ってない人の運転する信号無視の自動車がやってくる。その後すぐ目の前で車と女の子がぶつかりーーーーー。
急に視界が元に戻った。今の映像はなんだったのだろう夢だったのだろうか、寝てもいないのに夢を見るわけないだろうが思いもよらない体験に頭が追いつかない。
いつの間にか信号は青に変わっており、横を女の子が通り抜けていく。
「あっ、これさっき見たやつと同じじゃん…」
すると、赤信号のレーンを車が走ってくる。これもさっき見た光景に似ている。
やばい、このままだとさっき見たものと同じようになる…。あぁ、めんどくさいなー、でも仕方ない。
女の子めがけて思い切りかけ出し、追いつくとともに全力で前へ突き飛ばす。
それと同時に俺は自動車に轢かれた。
きゃーと叫ぶ声、遠くで何やら叫ぶおじさんの声が聞こえてくるが、だんだんと意識がなくなり視界は暗くなった。
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