第261話 21『アンソニーとネロ』
モロッタイヤ村での戦利品を持ってツリーハウスに戻ったアンナリーナは、アンソニーが休んでいるイジの部屋に向かう。
「具合はどう? アンソニー」
身を起こそうとするアンソニーを押しとどめて、アンナリーナはベッドの脇の椅子に座った。
「皆さんによくしていただいています」
イジは今日、セトと共に魔獣の森で採取をしている。
ネロは自室で魔導書に取り組み、アラーニェは学院にいるので、今日はアマルが面倒を見ていたようだ。
「お薬ポーションは飲んでる?
少し体力値を増やそうか。
【体力値供与】【魔力値供与】【鑑定】」
アンソニー(ノーム、雄、筋力低下)
体力値 385
魔力値 186
スキル
料理
「うん、いい感じだね」
なによりも【精神虚弱】が外れたのが良い。
「さて、ここからはアンソニーの希望を聞きたいんだけどね、これからどうしたい?」
「これからですか?」
アンソニーは戸惑いを隠せない。
「もう気づいていると思うけど、私は従魔にステータスを供与する事が出来るの。
ここにいるドラゴニュートのセトは、一年前アイデクセだったあのセトだよ?だからアンソニーがこれからどういう方向に進みたいのか……私はこのツリーハウスで料理して欲しいと思ってるんだけど、闘うコックさんでもいいかな」
「料理人……闘うコック」
「まあ、そんなに焦らないからゆっくり考えて。まずは筋力を取り戻さないと料理どころじゃないでしょ?」
アンナリーナは布団をポンポンと叩くと立ち上がった。
「私、アンソニーの料理、大好きだよ。それから私の作る料理も覚えて欲しいな」
アイテムバッグから一冊の大型本を取り出し、アンソニーに渡す。
それは【異世界買物】の書籍販売専門店で購入した、カラー写真がふんだんに使われた料理本だ。
「リーナ様、これは何ですかっ?!」
アンソニーの悲鳴のような声が響き渡る。
瞬時に本の虜となったアンソニーを残し、アンナリーナは微笑みを浮かべて部屋を後にした。
「ネロ、入るね」
ずらりと並ぶ、従魔たちの部屋。
その一室にノックして、アンナリーナはドアを開く。
「ご主人様。お戻りになっていたのですか」
黒いローブのフードを深めに被ったネロがペンを置いて立ち上がった。
「いいよ、座ってて。
相変わらず勉強家だね」
ネロは何も思い出せないというが、アンナリーナは彼は生前、学者か研究職だったのではないかと思っていた。
それが、どうしてあの洞窟でたったひとり長い時間置き去りにされていたのか、わからない事は多い。
「ちょっとごめんね。
【体力値供与】【魔力値供与】【スキル供与】風魔法、そして【鑑定】
ネロ(スケルトン、雄)
体力値 3854
魔力値 4165
スキル
火魔法(火球、エクスプロージョン、ファイアアロー、ファイアストーム、ボルケーノ、インフェルノ]
氷魔法(氷球、アイスアロー、アイススピア、フリーズストーム、アブソリュートゼロ、ダイヤモンドダスト)
水魔法(水球、ウォーターアロー、フラッド、ディープフラッド、デリュージュ、アクアブレード、タイダルウェーブ、アクアビーム、ダークストリーム)
雷魔法(雷球、ライトニングアロー、サンダーボルト、ライトニングバースト、ディバインスレイブ、ディスタージ、マイクロウェーブ)
魔法効果拡大
魔法範囲拡
風魔法(ウインド、エアカッター、エアスラッシュ、ウインドアロー、トルネード、サファケイト)
「あのね、私、将来的にはネロには【死霊魔法】を覚えてもらって眷属を増やして欲しいの」
死者の国から蘇ったネロにとって、それほど相応しい魔法はないだろう。
彼は背筋を伸ばしてアンナリーナに向かった。
「このネロ、ご主人様の仰せのままに」
「うん、そろそろ以前言っていた子を眷属にしようと思ってる。その子は戦士職になると思うけど、よろしくね」
アンナリーナの言葉に、ネロは黙って頷いた。
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