第4話 ツーリスト・アドベンチャー4
亜空間ラムジェット旅客機のチケットが実は飴玉だってことに、気付いてしまいました。
リアルワールドでの滞在期間は飴玉がなくなるまで、ってことにも。
そしてその味で体験できる世界の風景が変わることも、ついでに。
なので今回選んだのはソーダ味の飴玉。
シュワシュワしつつ意外に長く舐められるソーダ味。
さあ、今度の世界はどんなかしら。
到着した先は……あれあれ? あたしがいた世界と殆ど、いや、全く同じ?
と、ラムジェット旅客機のキャビンアテンダントさんが教えてくれた。
ここは並行世界。あたしがいた世界と同じ歴史を歩みつつ、微妙に違う結末を迎えた世界だ、と。
なるほど。だったらレッツゴー。
っていきなりポリスメンに追いかけられるー! あたし、何か悪いことしましたっけ?
再びアテンダントさんから解説。
この世界のあたしは科学者、それもマッドサイエンティストで、よからぬ発明を沢山していて警察を始めいろいろな組織から狙われているのだそうだ!
なんてことをしてくれたんだ、あたし!
これはもう、あたしに会って説得して更正させなくちゃ!
どうにかこうにか居場所を突き止めると、そこは見るからに胡散臭い研究所。紫の煙なんかを吹いてる怪しい建物。
警備員らしきはいないのでコソコソと近寄りつつ、進入!
中にも警備員、警備装置はなく、なんとも無用心だなー、なんて思いつつ奥へと進む進む。
すると研究室らしき場所を発見! で、そこにいたのは……あたし! あれあれ? どう観てもあの白衣の後姿はあたしなんですけど?
ベット形状の設備に緑色のドロドロを入れてかき混ぜてるあたしは、時折ふふふともらしていて、いやー、なんとも不気味この上ない。
しかし、そんなあたしはきっと良くない発明をしているに違いないので、説得!
ねえ、と声をかけると、ゆっくりと振り向いた。その顔は表情こそ不気味なものの、やっぱりあたしでした。
何をしているのか、と尋ねると、再びふふふと笑ってから、もう一人のあたしの三人目を作っている最中だ、そう答えた。
……三人目のあたし? 何だか話がややこしくて頭がふらふらする。
博士なあたしは続ける。一人目のあたしは二百八十年前に送って、もう一人は百五十年前、最後の一人は八十年前に送って、それぞれの位置で歴史を変える作業をしていると。
……ややこしくて解らない! つまり……ってところでソーダ味の飴玉がなくなった。
迎えの亜空間ラムジェット旅客機がどーんと登場し、アテンダントさんが手招きしてきた。
まだ詳しい話を聞いていないけれど、タイムオーバーらしい。
旅客機に乗るあたしに博士のあたしはふふふと笑いかけ、そしてテイクオフ。
どうやらまたここにこなくてはならないようだけど、次は原子破壊熱線砲他を用意しておいたほうがいいのかな?
――おわり
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