第626話 熱狂的なファン?
「何あなたは何か話が分かりそうじゃない?
流石にレヴィアタン様の魔力を纏ってるだけはあるわね」
女はなぜか緑箋のことを気に入ったようである。
同志とでも思ったのかもしれない。
緑箋にとっては厄介この上ない話ではあるが、
今の状況ではこれを活かすしかない。
「僕たちはこれからレヴィアタン様の城に用があるんです。
だからレヴィアタン様の魔力が感じられるんじゃないでしょうか」
「ああ、そういうことなのね。
それにしてはとってもレヴィアタン様の魔力が濃いような気もするけど……」
「それだけレヴィアタン様の魔力が強力ということでは何でしょうか?」
「まあ確かにそうね。
強力過ぎるレヴィアタン様だからこそ、
こんなに離れていても感じられるのかもしれないわね。
これだけ濃いレヴィアタン様の魔力を感じられて、
考えてみたら感謝したほうがいいかもしれないわ」
ふふふふと蠱惑的な笑みを浮かべながら、
少しだけ女は機嫌を取り戻したようである。
「じゃあ僕たちはレヴィアタン様のお城に行かなければならないので、
ここで失礼しますよ」
緑箋たちはこの場を離れようとしたが、
女はちょっと待ちなさいと引き留めた。
まだ何かあるのかと遼香はうんざりした顔を隠さない。
「あなたたちこれからレヴィアタン様の城に行くっていってるけど、
今レヴィアタン様はあの城にいないわよ?」
この女はレヴィアタンのただのファンだと思っていたが、
少し詳しい情報も持っているようである。
ただのファンが重要機密を持っていることはないわけではない。
スタッフや関係者に漏らした情報が外に漏れることもある。
この世界でもそういうことがあるのかはわからないが、
逆にこの世界の魔法を有効利用したら、
情報集めは簡単かもしれない。
緑箋は少しこの女から情報を得られるのではないかと、
話をさらに合わせることにした。
「レヴィアタン様はいらっしゃらないのですか?
私たちは詳しくはお話できませんが、
少しレヴィアタン様に用がありまして、
お城の方へ行く予定なのですが、
対面の予定などは入れておりませんので、
いらっしゃらなければそれはそれで仕方がありません。
もしいらっしゃればお目通りが叶ったのですが……」
女はお目通りという言葉に激しく反応した。
今こいつらについていくことができたら、
もしかしたら直接会えるのではないかと、
瞬時に頭を回転させたようである。
「よ、よかったら私がお城案内いたしましょうか?
こういってはなんですが、
一応私もなのある魔族ですので、
あなた方だけよりも、
もしかしたら信用されるかもしれませんよ」
「確かに高貴な方だとは思っておりましたが、
そこまであなたにお世話になるわけには……」
「いいえ!ダメです!
あなた方だけでお城に行かせるわけにはまいりません!
あなた方はサタン様のお使いなのでしょう?
サタン様に恥をかかせることになっては、
我々レヴィアタン領に住む者にとっても損失になってしまいます。
この……」
アンビシニヨンが必ずお城までご案内いたします!
女はそう名乗った。
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