第615話 魔王島の田舎道
農村地帯のような場所をさらに上へと進んでいく。
農村地帯は本当にのどかな感じで、
人間界の田舎とさほど変わらない。
魔族たちもそれなりに忙しく仕事をしているようで、
全く人間界と変わらない。
この地域が誰に支配されているのかといえば、
どう考えてもレヴィアタンであろう。
土地を持ってている魔族もいるのかもしれないが、
この辺りの土地の家にはレヴィアタンの旗がはためいている。
レヴィアタンの旗の中には、
綺麗な女性の顔が描かれている。
レヴィアタンが人間の姿の時の顔である。
「やっぱりレヴィアタンは自分が好きだったんですね」
緑箋はそう呟いた。
「そうだねえ。
上級の魔族になればなるほど自分の魔力を過信して、
自分の実力を誇示したくなるものだからね。
もし顔に傷なんかつけられようものなら、
その怒りは一家惨殺したところじゃ治らないんじゃないかなあ」
夕乃は物騒なことを嬉しそうにいう。
「じゃあもし、レヴィアタンが顔から真っ二つにされたりなんかしたら、
一体どうなっちゃうんでしょうか?」
「国が一つ滅びてもおかしくないかもねえ。
でもさ、
まさかあのレヴィアタンを真っ二つにできる人間なんているわけないし、
今回封印したのだってすごいことだからね!
そんなことは起こりっこないよ」
夕乃はさらに物騒なことを言いながら大笑いした。
そして隣の遼香は夕乃よりも大笑いしている。
「珍しいね遼香ちゃん。
そんなに笑うなんて。
何?私なんかおかしなこと言ってる?」
遼香があまりにも笑っているので、
夕乃は珍しく動揺している。
遼香は笑いながら答えた。
「夕乃が、
そうやってレヴィアタンが真っ二つになることなんてないって、
決めつけていうからさ。
ちょっと流石におかしくなちゃってね」
遼香は苦しい苦しいお腹が痛いと、
珍しく笑い転げている。
それを見て代田も笑っているが、
緑箋は苦笑いである。
「何々?どうしたの遼香ちゃん。
そんな面白いこと言ってないじゃない。
上級魔族と戦えるだけですごいんだから、
そんなに笑うことないじゃない。
ねえ、緑箋君。
遼香ちゃんおかしいよね?」
夕乃は不思議そうに緑箋に話を振ってくる。
夕乃は諜報活動をしているとはいえ、
別に全ての情報を知っているわけではないのだ。
前回のレヴィアタンとの戦いの結果は知っていても、
その戦いの内容までは詳しく知らなかったのだろう。
遼香は流石に笑いも落ち着いてきたが、
まだ苦しい苦しいと言っている。
「夕乃は絶対にあり得ないと思って例えを出したんだろうけど、
前の戦いでレヴィアタンは真っ二つになったんだよ」
「ええー、遼香ちゃんがやったの?」
遼香はそっと緑箋の方を指さす。
緑箋はばつが悪そうに頭を書いている。
夕乃の大声が魔王島に轟いてしまった。
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