第613話 魔王島調査探索

「さて、今一度今回の任務の内容を確認しておこう」


遼香は何度も確認した今回の任務について最終確認を行った。


「今回はあくまでも単なる現地調査が目的だ。

大きな争いを起こさないで撤退するのが一番大事な目標だ。

決して無理はしないように」


遼香の言葉に三人は大きく頷く。


「人間界では初の魔王島上陸とも言えて、

カレンたちの情報があるとはいえ、

未知の場所の現地調査となる。

とにかくその魔族たちの生活や暮らし

もし分かれば兵力や魔力なども調査したいと思っている。

ただし何度も言うが一番大切なのは無事に帰ること。

危険なことがあれば必ず協力しあって回避しよう。

帰りは空を飛んで近くの人間界まで逃げればいいだろう」


緑箋には不安が残る撤退方法ではあるが、

別に空を飛ばなくとも、

海を利用して移動することはできる。

緑箋は空は飛べないが、

空を飛ばなくても高速移動をすることは可能である。


夕乃からもらった服にはそれぞれの探知装置もついているため、

万が一離れ離れになっても位置は確認できるようになっている。


いきなりレヴィアタンの居城から攻めるよりは、

まず下層の調査から行って、

魔族に慣れておくことにするという方針から、

このまま家の方に向かって歩き出す。


魔族の気配もあるが、

今のところは家の中にいるようである。

ここは町外れということもあるので、

もっと魔族の中では位が低いのかもしれない。

空き地はあるので、何か畑のようなものもあるが、

人間界とは違った植物が植えられている。


「カレンさんたちもそうですが、

やっぱり魔族もあまり人間とは変わらないところもあるみたいですね」


「もちろんそうだよ。

別に魔族だからって人間の生き血ばかり飲んでるわけじゃないよ。

どちらかというと魔力を摂取するために食事をしているようだから、

別に人間じゃなくても大丈夫なんだと思うよ。

ただ上級魔族にとって魔力の高い人間は、

自分の魔力を高めるために効果的なようだから、

襲われてしまうこともあるね。

まあ単純に暇つぶしの方が多いのかもしれないけど」


そういう話を聞くとカレンたちはどうなのだろうかと、

緑箋は思ったりもしたが、

今のところは穏やかに生活しているので大丈夫そうである。

今度も長くそのままでいてくれるといいのにと緑箋は思った。


ぽつぽつと立っていた建物から、

だんだんとあばら屋のような家が立ち並び始めていた。

魔族たちの姿も増え始めている。

モンスターのような魔族たちだけではなく、

カレンたちのように人間に似た魔族も多くいるので、

遼香たちの姿もそれほど珍しくはないようである。

夕乃の幻影魔法によって、色や形は変えられているので、

一段と見分けるのは困難なようである。


さらに進んでいくと完全に街のようになり、

商店街のような場所に出た。

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