第612話 魔王島上陸
外は森と平原が広がっていた。
東と南には岩山が聳え立っており、
人間界では見られないような木々で覆われている。
魔界の魔力が高いので人間界とはまた違う生態系なのであろう。
海は見えない。
魔王島は岩山に囲まれて、
中は比較的広い平野になっている。
魔王島の南東部に位置しているこの大きな建物の北側には、
ぽつぽつと家のような石が積まれているような建物が建っている。
そのさらに奥にはもう少し建物が建てられいて、
街並みのようなものがある。
カレンたちの情報によると、
そこからさらに北側に行くと丘になっており、
丘の上にレヴィアタンの居城があるということである。
ここからは直接レヴィアタンの居城を確かめることはできない。
一旦緑箋を除く三人は空に飛んで辺りを確かめる。
緑箋は飛べないし、抱えてもらっても困るので地上で待機している。
空を飛ぶ魔物たちの姿も見えるので、
それほど怪しまれることはないと思うが、
この建物の周りにいるのは危険かもしれない。
明らかにこの建物だけ異質であるからだ。
ただ別に隠そうという意図はないようであり、
普通に一番穴が掘りやすいところから穴を掘ったという感じだ。
おそらく多くの人数が穴を掘るのには必要だったはずで、
全て秘密裏に穴を掘る計画が進められたのかどうかはわからない。
緑箋の感覚ではあまり魔族はそういうことを気にしないのではないかと思っている。
例えばもう一人の魔王のサタンに気が付かれたところで、
何か問題になることもないだろう。
レヴィアタンとサタンの魔力の強さの違いはあるのかもしれないが、
別にここで領土争いをしていたわけではないようなので、
関係性は良好だったようである。
三人は空から降りてきた。
「カレンたちのいう通り島は二つの領土で分けれられているようだ。
綺麗に半分に分かれているわけではないが、
大きな城が二つ建てられていて、
そこに城下町があるような感じだな。
ただ城下町とそれ以外にはかなり建物に差があるらしい。
こちら側のレヴィアタンの領地は、
北側の丘の上と、
こちら側の南側で格差があるようだな」
カレンたちから聞いていた情報とも一致している。
「言わなくてもわかってると思うけど、
もう魔族の領地だからいつ何があるかわからないからそこは注意してね。
ただ私の幻影魔法とカレンちゃんたちからもらった服の効果で、
すぐに人間だとバレることはないと思うから、
あまりコソコソしすぎなくても大丈夫。
普通に振る舞っておいた方が見つかりにくいはずよ。
下層の方は多分他人を気にしていることはないと思うけど、
上層に行った時はより注意した方がいいかもしれないね。
それはそっちに行った時に考えましょう」
夕乃は心得を教えてくれている。
真面目なこともちゃんとできるのだと、
緑箋と代田は感心していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます