最悪スキルが最強スキル？薬師だと思ったら……

第595話 無月と仲間と

「無月はなかなか面白い武器になってるじゃないか」

「そうだろう？遼香も俺を使ってみるかい？」

「いや、多分私には使いこなせないよ。

それは無月もわかってるんだろう？」

「はははは、どんな武器でも遼香なら使いこなせると思うけど、

確かに遼香が俺を使ってても、

今みたいにはなってなかったかもな」

「そうなの？

使い手によって効果が変わってくるってこと？」

「緑箋に合わせて俺も成長したってことなんじゃないかな。

武器だってちゃんと成長してるってことだよ」

そう話していると、夕乃が戻ってきた。

「遼香ちゃん、無事に終わったようね」

夕乃は遼香の元を離れ、避難を助けてくれていたのだ。

「ああ、そっちもみんな無事だったか？」

「ええ、みんなが速やかに避難できたから、

みんな無事よ、

それに結局何事も起こさせなかったでしょ。

さすがね遼香ちゃん」

「私だけの力じゃないよ。

緑箋君がいなかったらどうなっていたかわからないよ」

「そうだね。

緑箋君もお疲れ様！

みんなを守ってくれてありがとう！

じゃあ私はもう一度みんなに報告してくるね」

夕乃は自分の確認したいことを確認すると、

嵐のようにまた報告しに戻って行った。

すると今度は守熊田と代田と咲耶が戻ってきた。

咲耶は緑箋を見つけると、

全速力で緑箋に飛びついてきた。

「よかった、緑箋君。無事で。

本当に無事でよかった……」

緑箋は宙に浮いている手をそっと背中に添えた。

「大丈夫だよ。約束は守るからね」

「うん……うん……」

咲耶は珍しく言葉を発することができなくなっていた。

それを周りの大人たちは優しい目で見守っている。

「ほら、ほら、

感動的なとこすいませんけど、

俺のことも紹介してもらっていいですかね？

さっきの子には話しかける隙がなかったもんでね」

「え？誰？」

今来た三人は急に知らない声が聞こえてきたのでびっくりした。

そしてその声がどこから出ているのかもよくわからないので、

キョロキョロと探し始めた。

「こっちですよこっち。

刀ですよ刀。

無月です。無月」

無月は我慢できなくなったのか、

勝手に喋り始めた。

「え？無月？

無月がしゃ、しゃ、しゃ、喋った！？」

咲耶と一緒に三人ともびっくりしている。

「そうなんだ、無月が喋れるようになっちゃったみたいで」

「なんだよ、なっちゃったってなんだよ。

いい相棒ができたって喜んでたじゃないか」

緑箋はそんなことを一言も言った記憶はない。

しかし喋れる刀について、

三人に概要を説明した。

説明しながらも緑箋も何もわかってはいないのだが、

レヴィアタンとの戦いについても説明しながら、

無月について説明した。

「なるほど、

そんなことがあったんや。

まあでもせっかく喋れるようになったんやから、

仲良くしような。

無月よろしく！」

咲耶は相変わらずの明るさで、

あっという間に無月を受け入れている。

「さっすが、咲耶ちゃん！

話の飲み込みが早い。

そこらのおっさんとは大違いだな！」

咲耶と無月は意気投合してしまっている。