第594話 無月の新機能

「無月がこんなことになるってことは、

もしかしたら砕星の方も喋るようになるんじゃないですか?」


「いやどうだろう。

私の感じだと再生は喋らないような気がするな」


「そもそも砕星は魔力を吸収しないからな。

破壊に向いている武器だから、

喋ることはないだろう。

ただ砕星にも意思はあるみたいだな。

俺ほど明確ではないが、

遼香の魔力は気に入ってるみたいだぜ」


「同じ鉱石から作られてるのに、

効果が違ってくるんだね。

不思議だ」


「緑箋君がそう思うのも無理ないが、

武器としての形状が違うから、

武器の目的も変わってくるんだろう。

無月がいうように、

魔力を吸収するわけじゃないのは、

もしかしたら私の魔力との関係性もあるのかもしれないな」


「遼香さんの魔力ですか……。

じゃあ僕の魔力と無月の武器としての効果が合わさって、

今みたいなことになってるということなんでしょうか?」


「まあ、いいじゃねえか。

こんなにいい相棒ができるなんてことはなかなかないんだから、

この奇跡を喜べばいいんだよ」


無月は声だけなのに、自慢げなのがよくわかる。


「そんなに喋る武器が多くなっても困るからな。

私の武器は今のままでいいよ」


「確かに、無月と砕星が二人でずっと喋ってると思うと、

なんか恐ろしい気もしますね」


「なんだと!

おい砕星起きろ!

お前ひどい言われようしてるぞ!

お前も起きて喋ってみろ!」


無月は砕星に話しかけるが、

砕星は答えない。

まあこれが当たり前の姿である。

無月がおかしいのだ。


「ちなみに無月の中のレヴィアタンの魔力はどうなってるんだ?」


「そうだな……。

説明するのは難しいが、

レヴィアタンの魔力を取り込んだのは確かだが、

レヴィアタンの意識を取り込んだわけではないから、

レヴィアタンが中にいるということではないな。

だからいつか俺がレヴィアタンに乗っ取られるということは、

多分ないだろう。

多分っていうのは確証はまだ持てないってことだ。

おそらくないと思う。

もしレヴィアタンが復活した時に、

この魔力が奪われるかどうかもわからんが、

レヴィアタンの魔力は残っていくんだろう。

緑箋ちょっと構えてみろ」


緑箋は無月を抜いて構える。


「少しレヴィアタンの魔力を思い出して握ってみろ」


緑箋はレヴィアタンと対峙した時のことを思い出して、

レヴィアタンの魔力を無月の中で探すように握る。

緑箋はレヴィアタンの魔力をなんとなく感じ取ってみた。


「よしそのまま俺を振ってみろ」


緑箋は無月に言われた通りに袈裟懸けに斬り、

下から斬りあげる。

すると刀身から水の刃が飛んで行った。


「なるほど、水魔法を使わなくとも、

レヴィアタンの水属性の攻撃ができるということか。

すごいじゃないか!」


緑箋はさらに刀を振って攻撃を確認した。

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