第591話 レヴィアタンだったもの
緑箋と遼香は魔臓が埋もれないようにしながら、
周りの魔力の塊を削っていく。
二人はかなり削り負けなくなって来ているので、
このまま肉体の膨張を抑えつつ、
最後の試みへ移行する準備を整え始めていた。
自然とお互いに同じ答えに辿り着いていたようで、
その答えに向かって、
二人は息を合わせてレヴィアタンの魔力を削っていく。
そしてある程度の大きさになったところで、
二人は目で合図をした。
緑箋は無月にさらに魔力を込める。
そして一旦体の力を抜くと、
レヴィアタンの魔臓に無月を突き刺す。
そしてそこでさらに魔力を込める。
するとなんと無月の中にレヴィアタンの魔力が吸い込まれていく。
妖刀無月。
妖刀とは持ち手の正気を奪って、
ただひたすらに人を斬らせるなんて話もあるし、
刀そのものが人の生き血を啜っているなんて話もある。
ただこの無月は妖刀と名付けられているが、
そこは他の妖刀は少し違って、
正気も奪わないし、
生き血も求めない。
ただ奥の魔力との関わりを求めているようで、
こめられた魔力を自分の魔力にしている節がある。
そしてその魔力を使っている節がある。
なのでもしその枷を解いた時、
どのような反応が現れるのか、
緑箋はよく考えていた。
無駄な魔力を注ぎ込むことをあまりよしとしない刀であるが、
今回はこの膨大な魔力を好きなだけ吸わせることにした。
無月の中にレヴィアタンの暴走する魔力が吸い取られていく。
すでにある程度の魔力を破壊していたこともあり、
暴走する魔力よりも吸収する魔力の方が多くなっており、
レヴィアタンの魔力の暴走はついに終わりを迎えていた。
「よし、緑箋君そのまま、その調子だ!」
遼香はレヴィアタンだったものを殴り、周り破壊しつつ、
暴走を止めて緑箋を手伝う。
単純に魔力を吸収しているだけのようだが、
その圧力はものすごく、
レヴィアタンの魔力の強さを緑箋は感じている。
磁石が反発するかのように、
少しでも油断をすると無月が抜けてしまう。
しかもこれは腕力ではなく、魔力の問題なので、
緑箋は無月に魔力を込めながら、
しっかりと抜けないように操作し続けている。
とても高度な魔力操作をしながらも、
遼香と共に息を合わせ、
レヴィアタンの魔力を最後まで沈めていく。
そして最後はレヴィアタンだったものの魔力が、
全て緑箋の持つ無月へと吸収されるように吸い込まれた。
「緑箋君、ありがとう。
うまくいったな!」
緑箋は魔力を使いながら、無月に魔力を吸収させるという、
かなり難しいことをやり切った。
魔力の消費は出して吸収するという感じだったので、
それほどでもないのだが、
その疲労感はかなりのものだった。
緑箋はなんとか無事にレヴィアタンを収められたことを確認すると、
地面にへたり込んでしまった。
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