第590話 暴走する魔力
「
そして
緑箋は肉体強化と素早さ強化のスキルを使用した。
レヴィアタンの体の増殖により、
体はどんどんと巨大化し、
その中の魔力の密度も上昇している。
魔族の体は通常の攻撃では致命傷を与えることができず、
すぐ回復してしまう。
また今回はさらにその増殖力が高まっているため、
攻撃しても攻撃してもそく体は膨らんで埋めていってしまう。
その魔族の魔力に特攻効果があるのが、
緑箋の無月と遼香の砕星である。
二人は魔族特攻でレヴィアタンの体を斬り刻み、殴り続けていく。
しかし斬られた体はすぐにレヴィアタンに吸収され、
また殴って消滅した部位は増殖して膨らんでしまう。
「これは想像以上だな。
増殖速度が早すぎる」
無月は斬った断面の回復をさせなくする。
砕星は殴った部位を爆発させて消滅させる。
レヴィアタンの肉体は切断面、爆発面以上の増殖をしている状態なので、
個別の攻撃は意味をなさない。
「北風と太陽ですね」
「北風と太陽?」
「いやこちらの話です。
とにかく増殖する速度に速度で対抗しても意味がありません」
「なるほど、ではこうしてみようか」
遼香は緑箋が行っていたように制裁を巨大化させる。
その攻撃する面積を増やす。
一撃は流石に遅くなり、威力もすくなるなるが、
破壊する面が大きくなる。
緑箋も無月を巨大化させる。
今回はレヴィアタンの幅よりも長い程度に無月を伸ばす。
そしてすでに魔力の塊と化しているレヴィアタンの表面を、
削ぐように真っ直ぐに振り下ろす。
そしてそこに遼香の拳が叩き込まれる。
レヴィアタンが四方八方に大きくなって巨大な塊と化している中、
その正面だけは緑箋と遼香の連携で削れていく。
何かどこかの工場で薄切り肉を斬っているような光景である。
的確に破壊していかないと、
落ちた塊からまた増殖されてしまうのも困るので、
丁寧な連携作業が行われているのだ。
二人の連携により何度かレヴィアタンの増殖は抑えられてきた。
しかし魔力の高まりは続き、
体の中には高密度の魔力が生成されている。
そんな中、緑箋が斬り進めていると、
がきんという金属音がした。
「ようやく到達したな」
レヴィアタンの心臓である。
レヴィアタンの心臓は恐ろしく硬い。
前の戦いでは緑箋のウォーターライフルも弾き返すほどの硬度を持っていた。
ドンドンと遼香も拳を心臓に叩き込んでみるが、
欠けていくものの破壊するまでには至らない。
本当はこのまま心臓を破壊したいところではあるが、
この硬い心臓にどのように対処すべきかわからず、
心臓を破壊することに囚われているような時間はなかった。
「遼香さん、魔臓があります!」
魔力を贈る方の魔臓は心臓と同じような役目をしているが、
右胸にある魔臓は硬いといっても心臓ほどではなく、
以前の戦いでは緑箋のウォーターライフルで貫通させることで、
撤退に導くことができたのだ。
「よし!そっちか!
そっちでいくしかないな。
魔臓で攻めていこう」
遼香と緑箋は目を合わせて決断した。
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