第564話 国の方針

「今日もいい匂いがするじゃないか!」


「わーもうお腹ぺこぺこですよ」


遼香と朱莉が帰ってきた。

思いの外明るい感じである。

みんなはおかえりなさいと迎えた。

そして一斉に準備をしようと立ち上がる。


「ほらほら、そんなにいっぱいいても邪魔なだけだろう。

自分でできるから大丈夫だよ」


「でも温めないといけませんから」


たえはたたたっと台所へ走っていく。

久しぶりに自分の作った食事を食べてもらうのだから、

美味しく食べて欲しいのだろう。

遼香と朱莉も台所へ行き、

自分の食事を持ってくる。


「やっぱり和の食事が最高だよなあ」


「ほんとですね、もう我慢できませんから頂いちゃいましょう」


遼香と朱莉はいただきますと言ってから、

一心不乱に食事へ集中する。

美味しいおいしいと言ってご飯と食べている。


「今日は、ゾードさんとザゴーロさんと一緒に作ったんですよ」


「ほんとですか!めちゃめちゃおいしいです!」


「本当に美味しいなあ。もう料理人だらけになってしまうな、

この寮は」


朱莉も遼香も本当に美味しそうにご飯を食べているので、

ゾードとザゴーロも嬉しそうである。

みんなには今回の予言について話をしたということを二人に伝える。

ご飯と食べながら、遼香と朱莉は軍の方針について教えてくれた。


「問題が問題だから遥香の方とも話したんだが、

基本は警戒をしながらいつもの業務という感じになりそうだ。

私もそれで問題ないと思っている」


「まあみんなも思っている通り、

予言だから動き用がない感じよね。

これが脅迫文とかだったらもっと動き用もあるんだけれど」


「メアリーの能力について疑問があるわけではないし、

その実力はこちらにも届いているから、

理解はしているんだが、

あまりにも情報が少なすぎて対策の仕様がないというのが本音だな。

国の予言者というのは他国にとっては信ぴょう性はないからな」


中にいるときはその神秘性を強く感じ取ることができるが、

それは側から見たら全く胡散臭いものにしか見えないということもよくある。

相手にとって都合が良い予言は、

こちらにとっては不都合になってしまうから、

信頼することはできないのだ。


「場所はわからないけど、

時期はここ一週間くらいという話だから、

隔離ということも考えたんだけど、

まあその話が通るわけはないのよね」


朱莉は遼香を見つめる。

遼香はご飯を食べている。


「よくある一人で絶対安全な場所で隔離するという方法もあるにはあるが、

一人でいることのリスクの方が大きいだろう。

魔法の世界では完璧な防御なんてものは作れない」


単純に言えば瞬間移動できるものがいればなんの意味もない。

むしろ一人だからこそ危険ということもある。

その対象が遼香でなければということではあるが。

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