第562話 寮のみんなへ予言についての説明

まず緑箋は予言のことについて、

たえとゾードとザゴーロに説明するところから始めた。

これについては朱莉と遼香も説明するが、

先に緑箋に説明して欲しいとお願いされていた。

同じ寮に住んでいるわけなので、

いつ何があるかわからない。

普段とは違う異変を感じた時にすぐにピンときてもらうように、

先に説明して欲しいということだった。


緑箋の説明を補足するように、

代田とカレンも言葉を繋いでくれた。

遼香に対する予言の話を聞いて、

たえとゾードとザゴーロの三人はどう反応していいかわからないようだった。

緑箋たちが冗談ではなく、真面目に話をしているのは理解しているのだが、

それが本当に起こるのかどうかが眉唾だからである。


魔法の世界においては、予言や未来予知というのは行われているが、

民間の中ではやはり信用に足らないものという認識が多い。

基本的には冗談や嘘や詐欺の類である。

嘘を見抜く魔法もあるので、

被害に遭う人は少ないのだが、

それでも冗談で未来の話をする人も少なくない。

笑い話のような話として捉えられてしまうのが一般的だ。


「魔族にも予言者はいます。

魔力の強いものは予言者として魔王様の側近として仕えているものもいます。

ですから今のお話は私たちにとっては何も不思議ではありません。

失礼な言い方になるかもしれませんが、

本当に起こるか起こらないかは別にしても、

そのような脅威があることに備えておくのは必要でしょう」


「予言ではありませんが、

カレン様に脅迫文のようなものが届くこともよくありましたので、

私たちもしっかり気をつけたいと思います」


ゾードとザゴーロはカレンの身を一番に案じながらも、

遼香のことを思ってくれているようだった。


「たえのことではないけれど、

たえもあまり一人にならないように、

誰かと行動を共にしてくれるように気をつけて欲しい」


「わかりました、気をつけますね」


代田はたえのことを一番に案じている。

みんなの反応を伺った後、

緑箋はさらに話しを切り出した。


「で、ここからは僕の相談なんですが……」


緑箋はゆっくりと先ほどからの堂々巡りの考えについて、

みんなに説明した。

説明しながらもやっぱり堂々巡りになってしまうような考えではあるが、

とりあえず今わかっていることを説明することにした。


遼香が刺される場所が、

もしかしたら自分がいた大阪の白龍寮なのではないかということ。

メアリーに確認してもらって確率は高いような気がするが、

確証はやはり持てないということ。

そしてこのことを白龍寮の知り合いに伝えるべきかということ。


この緑箋の考えを聞いてもらった上で、

なんでもいいので助言が欲しいということを、

緑箋は素直にみんなに尋ねてみることにしたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る