第548話 メアリーについて

メアリーにみんなが挨拶をしていると、

妖精が紅茶を運んで持ってきてくれた。

妖精には少しだけ大きなカップに思えたが、

軽々と持ってきているのは、魔法のおかげかもしれない。

紅茶を勧められて、みんなは飲みながら話を続けた。


「緊急の御用があるとお聞きしましたが。

何か問題があったのでしょうか?」


「そうなんだけど、シルヴィア。

まず私のことを紹介させてもらってもいいかな?

初めましての方たちばかりだからね」


メアリーはにこやかに笑いかけると、

シルヴィアは焦っていた自分を落ち着かせた。


「メアリー様のことを知らないなんて、

本当にボンクラどもだなあ。

まあ無学なお前らに教えてやるよ」


「こらこら、口が悪いなあ。

ウィズダムは気はいいやつなんだけど、

こんな喋り方なのが玉に瑕なんだよ。

許してやってちょうだい」


「メアリー様がそういうんだったら仕方がねえ。

まあ客人扱いしてやるよ」


「全く。全然変わってないじゃない」


「いくらメアリー様といっても、

私の性分までは変えられねえんですから、

そこは諦めてください」


「まあ長い付き合いだけど、

変わらないものね。

でも誤解されるのはあなたなのよ。

私はそれが心配」


「ありがてえ話ですけど、

この生き方だけは変えられねえみたいです」


「わかったから、わかったから。

みんなに説明を早くしてあげて。

ポカンとしているじゃない」


二人の饒舌なやり取りは止まらない。


「メアリー様に無駄な時間を使わせるわけにもいかねえからな。

じゃあメアリー様のことを説明してやる。

魔女だ。

この世界で一番と言われている魔女のメアリー様だ。

もうこれだけで十分だろう?」


フクロウのウィズダムは胸を張っている。

魔女というのはこの世界にもいるらしく、

女性の魔法使いが全て魔女というわけでもないらしい。


神秘的な力を持つ存在として、古今東西の物語に頻繁に登場する存在です。彼女たちは、自然の力を操り、呪文を唱え、時には予言をしたり、不思議な薬を調合したりします。


魔女のルーツとイメージ

魔女のイメージは、時代や文化によって大きく異なります。


前の世界で言うと、

魔女はどちらかというと悪魔の使い、

悪魔崇拝者のようにみられていたと思われがちであるが、

古代では魔女は自然と密接に関わり、

豊穣や癒しを司る魔法使いであり、

宗教的儀式を行うものであった。

どちらかといえばシャーマンに近いようなものだっただろう。


しかしキリスト教の広まりにより、

異教的な信仰や呪術は悪魔崇拝と結びつけられ、厳しく禁止されるようになった。

そのため他の宗教的な女性は、

悪魔と契約を結び、超自然的な力を使って悪事を働く存在なり、

また疫病や不作などの災いの原因としても使われて、

魔女は悪魔の使いとされるようになってしまったのである。


そもそも魔女とは全く関係のない女性も、

言いがかりをつけられて魔女として迫害されるようになってしまった。

怪しい力を使う怪しいものとしてみられてしまうようになったのだ。

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