第545話 講演の盛況と結果

遼香が思いっきり殴っているところをみんなで想像して笑っていると、

遼香が帰ってきた。


「おいおい、人がしっかり講演しているのに、

みんなでこっちで盛り上がってるとは酷いじゃないか」


「いやいや、こっちは今みんなの確認が終わったんだよ。

でも遼香も我が軍のために本当にありがとう。

この成果は素晴らしいもので、

私としても感謝しても仕切れないほどだよ」


シルヴィアは遼香に抱きつきながら、

心からの感謝を伝えた。


「緑箋君がうまくやってくれて本当に良かったよ。

まあ殴れなかったのは残念だがね」


遼香が本当に殴れなかったのを残念そうにしているので、

みんなはお腹を抱えて笑った。

遼香は何も面白い事を言っていないのになぜ笑われているのかわからなかったが、

みんなが楽しそうにしているので、釣られて笑っていた。

なんだかんだ言って今回の作戦ではみんな緊張していたのだ。


「ほらほら、みんなまだ二講演あるんだからな。

またしっかりやってくれよ。

何が起こるかわからないんだからな」


遼香はそう言いながらも笑っていた。

しかし遼香のいう通りで、

何が起きるかはわからないのだ。

講演に聞きにくる聴衆を入れ替えている間に、

みんなはまたゆっくりと緊張感を高めていく。

一度成功したからといって、

その油断は一番危ないのだ。

特に緑箋はそのことをよく知っている。

人は調子に乗っている時に必ず躓くのだ。

ただずっと緊張しているだけでも身がもたないので、

今のように緩和しておくことも必要である。

そう言った意味ではとてもいい状態になっていた。


そのまま二講演も同じように続き、

大盛況のうちに幕を閉じた。

遼香の話はやっぱり面白くて、

講演自体の評判も上々であった。


結果として十一名がアスモデウスの魔法にかかっていたことがわかった。

情報流出などについてはこれから調べられると思うが、

やはり士官以上のものには影響はなかった。


年齢や男女の差は特にないが、

社交的な隊員たちが多かったようなので、

やはり飲みの場での接触が多かったように推測された。

体調不良のもの以外はほぼ全員参加したことで、

かなりの安全確認がされたことになった。


もちろんこれだけではない何かがあるかもしれないので、

そこは油断してはならないところではあるが、

今の現状でわかることがわかったことが大きい。

そして実際に被害に遭っている人間がいたことがわかったことも大きい。

これからその接触方法なども調べられていくであろう。

それがわかれば逆にこちらから仕掛けをすることもできるし、

今かかっていた人間をうまく使うことで、

相手の裏をかくこともできるだろう。

UK魔法軍としてかなり有意義な結果になった。


「みなさん、今日はご協力本当にありがとうございます。

みなさんのおかげて我が軍の危機を一つ取り除くことができました」


シルヴィアは深く頭を下げて感謝を述べてくれた。

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