第540話 遼香の講演会

今回は日本からわざわざ遼香がイギリスにきてくれたと言うこともあり、

イギリス魔法軍に対しての講演会が行われることになった。

しかも全ての軍関係者を参加させるために、

交代制で三講演行うことになった。

ちょっとした売れっ子である。

遼香はイギリスでもちょっとした有名人であるので、

かなりの人気があり、

講演も強制という形ではあるが、

大半が喜んで参加することになった。

遼香はああ見えて、というか見たまんまだが、

話すのが好きだし、

いろいろな所で講演する機会も増えているし、

何かと戦った話でもすればそれはそれで大盛況であるから、

講演にも困らない。

適当にというか適切な話を自分の中から選んで話せば、

意外と聞く方は勝手に素晴らしいと解釈してくれるものである。


会場に人がどんどんと集まって席が埋まっていく。

今回は講演の性質上、指定席となっている。

前の方にはお偉方が座って、

あとは部署ごとの席となっている。


時間となって講演が開始される。

あとは手筈通りに緑箋たちも配置につく。

緑箋は席の後方に位置取って、

すでにおとおふとみみえんのスキルを使用している。

緑箋が発する音は聞こえず、姿の見えなくなっている


遼香は公演中にみんなで腕を大きく伸ばすような仕草を促す。

魔法の使用するときの効果的な方法について教えている。

実際に魔法を使用するときには、

いかに自分の脳の想像力を働かせるかというのは重要になっている。

よく力を抜いて脱力するということは言われるが、

実際に力を抜いてしまうと人は立っていることができないはずである。

脱力して何かをやるということはできない。

つまり脱力とは力を抜くのではなく、

無駄な力を抜くことが必要になってくる。

手を上に上げたあと、力を抜いて手を落とす。

これはやってみればわかるが意外と難しい。

大抵の人は肘から落ちて肩が回って手の先が落ちてくる。

関節の可動でそこに力がどうしてもかかっている状態である。

なのでわかりやすくやるには手首を前に回す状態で落とすのがやりやすい。

しかし実はこれも腕を一本の棒のようにしているので、

負荷がかかっている。

しかし別にそれでいいのだ。

力を抜くというのは実際に力を抜くわけではなく、

無駄な力が抜ければいいのだ。

そして無駄な力を抜くことで、

全身の魔力を効果的に体の中に循環させて、

魔力を放っていく。

これが重要なのである。

もちろん達人になれば、全身の力をもっと効率的に抜くことができるので、

手を上に上げて落とすときに、

本当に全ての力を抜いているように落とすこともできるようになってくる。

これは練習が必要である。


というのが遼香の魔法をより効果的に使うための方法の一つで、

それをみんなに教えているのだが、

今回の作戦では全ての人間の位置を同じにするための方法でもある。

遼香と共に同じ行動をとることによって、

姿勢が正されていく。

すると身長の長短はあるものの、

確実に腰の位置は揃っていく。

遼香はその位置がしっかり揃ったことを確認し、次に進む。

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