第537話 イギリスでお茶会

イギリスといえば紅茶である。

いくつかの紅茶を、それぞれの好みに合わせて提供してくれる。


アールグレイは柑橘系の爽やかな香りが、甘い濃厚なデザートと相性が抜群。

ダージリンは、紅茶のシャンパンと呼ばれることもある、非常に上品な紅茶。

華やかな香りと爽やかな後味が特徴で、

繊細な味わいのデザートによく合う。

イングリッシュブレックファーストは、ミルクと砂糖を入れて飲むのが一般的。

朝食にぴったりの紅茶だが、もちろんいつ飲んでも美味しい。

力強いコクと香りが特徴で、濃厚な味わいのデザートとの相性も抜群。

アッサムは、ミルクティーにして飲むのが一般的。


どれもデザートとの相性は結局抜群である。

緑箋たちはまるでアフタヌーンティーを楽しむかのように、

紅茶とデザートを楽しんで、語らいあった。


そんな優雅な夜を過ごしていると、

遼香が帰ってきた。


お帰りなさいとみんなは遼香を迎える。

すでにみんなは貴族のように紅茶のカップを持って啜っている。


「随分とくつろいでいるようじゃないか。

こっちでもみんなが楽しんでいたようでよかったよ。

ちょっとおかしなことになってないかって心配になるくらいだが」


遼香はみんなの姿を見て苦笑いしている。


「遼香さんも紅茶飲みますか?」


代田が席を立ってお茶を入れようとしている。


「ああ、悪いね。一つもらおうかな」


代田は先ほど聞いた紅茶の蘊蓄をあたかも自分が知っていたかのように遼香に話す。

遼香はもう紅茶のことも知っているのだろうが、

その話をしっかりと聞いてあげて、アールグレイを頼んだ。

こういうところが遼香の優しいところである。


「はい、どうぞ。

お口に合えばいいですが」


代田はもう何かになりきって、遼香の前に紅茶をおいた。

遼香はさらに苦笑いをしつつ。紅茶を受け取った。

味は悪くないようで、美味しいと褒めてくれた。

代田はさも当たり前のように少しだけ笑顔を作った。


「みんな今日は色々とお疲れ様。

会談も無事にうまくいって、

晩餐会も楽しく過ごすことができた。

明日は帰る前に午前中、一仕事をみんなに頼みたい。

イギリスで世話になったシルヴィアの手助けをしようと思ってる」


もちろんですとみんなは返答する。


「今回はカレンも一緒に来てもらう。

本部ではなくて、少し離れたグラウンドのようなところで行うことになっている」


「わかりました。私の魔力がお役に立てるのならば光栄です」


カレンは頷いて了承する。


「ありがとう。

詳しいことは端末に送ってあるから、明日までに確認してくれ。

この件で調整するから、朱莉、後で私の部屋に来てくれ。

まあ、もう少しここでゆっくりしてからにしよう。

せっかくの紅茶だからな」


遼香も揃ってみんなで今日のことを談笑しながら、

穏やかなイギリスの夜がふけていった。

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