第536話 イギリスでの晩餐

緑箋はイギリスは食事がナンタラということを思い出していたが、

テーブルには色とりどりの料理が並べられた。


その真ん中に見事に焼き上げられたローストビーフが主役として鎮座していた。

大きな肉の塊は、外側はカリッと香ばしく、

中は驚くほどジューシーに焼き上げられている。

添えられたヨークシャー・プディングは、

外側はカリカリに見事に焼けていながらと、中はフワフワ。

ローストビーフの肉汁をたっぷり吸い込み、

口の中でとろけるような味わいが楽しめる。


ローストビーフの隣には、黄金色に焼かれたミートパイ。

ぎっしりと詰まった肉とハーブの香りが食欲をそそる。


副菜もバラエティ豊かだ。

マッシュルームをたっぷり使ったリゾットは、クリーミーで香り豊か。

ロティサリーチキンは、飴色に輝いていて、皮はパリパリ、中はジューシー。

グリル野菜は、彩り豊かで、素材本来の味を引き出している。


スープは、ポタージュとミネストローネの二種類。

ポタージュは、玉ねぎをじっくり炒めて作った濃厚なスープで、

口の中に広がる甘みがたまらない。

ミネストローネは、様々な野菜がたっぷり入った具だくさんのスープで、

優しい味わいで身体が芯から温まる。


緑箋たち、特に代田は今までに食べたことのない料理が並んでいる、

この圧倒的な光景に感動すら覚えていた。

これだけの巨大な料理が運ばれていながら、

あっという間に全てがなくなっていった。

基本的には全て代田が食べた、と言いたいところだが、

カレンもかなりの大食漢で代田に負けず劣らずの量を食べていた。

魔族の血がそうさせるのかもしれない。

エルフはそれほどの量は食べないらしいので。


「やっぱりできればたえにも食べさせたあげたかったです」


代田はそう言ってたえのことを思ったが、

流石に代田もこの料理を作り方を教えてもらっても、

作れないだろうと諦めた。


食後にはデザートも運ばれてきた。

まず目を引くのは、黄金色に輝くタルトだ。

表面には光沢のあるアプリコットジャムが塗られ、

アーモンドスライスがかかっている。

中には、サクサクのパイ生地に、

カスタードクリームとたっぷりのフルーツが層になっている。

一口食べると、口の中に甘酸っぱい香りが広がり、

幸せしかない。


クリスタルグラスに盛られたゼリーは、琥珀色に輝き、

フルーツの香りが爽やかだ。

チェリーやラズベリーなどの赤い実が添えられており、見た目も美しかった。


そして忘れてはいけないのが、トライフル。

ガラスのボウルにスポンジケーキ、カスタードクリーム、フルーツ、

ジュレなどが層になって重なっている。

それぞれの層が織りなすハーモニーは、宝石のようだった。


そしてさらにイギリスといえば、これである。

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