第532話 参考映像を見せる
「なるほど、色欲のアスモデウスですか。
厄介な相手ですね」
「そうなんです。
単純に攻撃を仕掛けられるだけというのも、
被害を抑えるのに必死ではありますが、
それは結果がわかりやすいわけです。
しかし、誰かが色欲によって魅了されてしまうと、
それを排除するのはなかなか難しい問題です。
しかも残念ながら人間にとって効果が高いというのも、
被害を増す原因になってしまいます」
シルヴィアは難しい問題に直面して頭を抱えている。
「最近、私たちの方でもおそらくマモンの仕業という現象がありました」
「マモンといえば七つの大罪では強欲。
アスモデウスと同じように人間の欲望に関係する魔族ですね。
もしかしたらアスモデウスにも対応できるようなお話かもしれません。
どのようなことがあったのか教えていただけますか?」
ようやく緑箋が話せる機会がきた。
遼香の狙いはこれだったのかもと思った。
マモンの被害は狸合戦での出来事である。
緑箋は当事者も当事者であるので、
遼香の代わりに、狸合戦で起こったことを説明した。
実際に現場で撮っておいた映像を見せながら、
話すことでより理解しやすくなったようだった。
この世界でも魔術と技術の進歩は目覚ましい。
そのがしゃどくろと代田が戦っている映像が流れている。
巨大になった二人が戦っている様子は大迫力である。
この世界でもなかなか見ないような光景である。
今までは外に出ていない映像ではあるが、
今回は特別にUK魔法軍のために映像を提供している。
「いや、これはすごいですね。
敵もここまでの魔法を使っているとは、恐ろしい。
こちらではあまり聞かない魔法ですが、
魔術と妖術の混合とでもいいますか、
やはり異なる魔力が混ざるということは、
何か巨大な反応を起こすのかもしれませんね。
それでこの結果はどうなったんでしょうか?」
映像は続き、
緑箋ががしゃどくろを退治する様子へとつながる。
「今回はここにいる代田と共になんとか敵を退けることができました。
その時は単純な反乱、反抗かとも思われたのですが、
明らかに異質な魔力を感じていたので調査を続けました。
そしてその調査によって、
マモンの痕跡があったという結果になりました」
緑箋の解説を聞いているのかいないのか、
シルヴィアたちは映像に釘付けになっていた。
がしゃどくろが最後、緑箋に倒される映像が流れた。
「これ、がしゃどくろにとどめを刺したのは、
緑箋さんですよね?」
「はいそうです」
緑箋は普通に答えたが、
シルヴィアは明らかに驚いている。
「これが無月の魔力ですか……?
いや、無月の魔力というよりは、
緑箋さんの魔力ですね。
映像からは実際に魔力を感じられないはずですが、
見ただけでもその凄さが伝わってきます。
いや、これはすごい。
遼香が会わせたいと言っていた意味がようやくわかりました。」
シルヴィアはあまりに驚きすぎて、
もう普通に本音で喋り始めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます