第527話 代田とレプリカ

代田はこんな素晴らしい出会いだからと、

ハルダヴェルグの勧めによって、

買う武器をミョルニルレプリカに決めたようである。


これはこれでいい出会いである。


代田は巨人であるから槌はよく似合う。

槌属性ではないが土属性である。

そしてミョルニルは雷属性の武器である。

今回はレプリカではあるが、

ミョルニルに準じた効果を発揮することができる。

雷を放つことができるのだ。


雷というのは現代のファンタジーにおいて欠かせない魔法の一つになっている。

しかし四大元素にも陰陽五行にも雷は直接は入っていない。

五行では木属性に含まれることになっている。

雷はあまりにも恐ろしく、

神が使う最大の能力の一つである。


五行思想でいえば、

土属性は木属性が弱点となる。

そう言った意味で代田の弱点を補うという面ではとてもいい武器となる。


一方土属性は雷を吸収するために、

雷属性にとって土属性が弱点ということも多い。

自らには影響を及ぼさないで雷が扱えると考えると、

これまた有効である。


またミョルニルは巨人特効の武器である。

トールはミョルニルを使って、

敵である巨人族を倒してきた。

その巨人である代田がミョルニルを持つということは、

レプリカとは言え何か因縁めいたものを感じることもできるのだ。


ハルダヴェルグはそこまで考えていたわけではないだろうが、

そういう不思議な縁をもって、

代田の元にミョルニルレプリカはやってくることになった。

この出会いが代田にとって、

そして緑箋たちにとって、

とても重要な出会いだったとわかるのだが、

それはまたのちの話である。


さて、他の人たちは、武器は防具ではなく、

やはり装飾品に目が入っている。

緑箋も武器や防具は今のところは問題がないので、

自分の能力を高めてくれそうな装飾品を探している。


朱莉なんかは単純に美しい装飾品に目が入っているが、

何をとってしても、さまざまな効果があるので無駄ではない。

今回の代田のように、

自分が一番気に入ったものが自分の助けになるということも、

ままあることなのだ。


緑箋は結局自分の魔力を底上げしてくれる指輪を選んだ。

周りの魔力を使うとはいえ、

自分の中の魔力を高める必要もある。

鍛錬して徐々に自分の魔力も高めて入るが、

装飾品で補えれば、

いざという時の残りの残りの魔力として使えることもあるだろう。


朱莉たちもそれぞれに自分が欲しいものを選び、

そしてたえと幽玄斎にも品物を見繕って、

結局買い物を楽しんだ。

緑箋は服には無頓着ではあるが、

こういう装備品を見るだけでも楽しいし、

この世界では実際に本当に色々な効果があるので、

買う時にはより迷ってしまうほど魅力的であった。


「みんないい品物を買ってもらえてよかった。

今日はそっちで予定があるみたいだから、

ゆっくりしてもらえなくて残念だが、

またいつでもこい。

ワシらはもう友人だからな」


みんなはハルダヴェルグに心からお礼を言って、

熱く握手を交わした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る