第522話 エルフと煌輝石と

「話がとっちらかっちまったが、

遼香がみてもらいたかったっていうのは、

みんなの魔力を込めて成長するんじゃないかっていうところじゃなくて、

もう一つの性質の方だってことで間違いはないな?」


「そうだ。すでに話は通していると思うが、

この武器はこちらでは煌輝石と呼んでいる新しい鉱石を含有して作られている。

もしかしたらエルフたちの中でこの鉱石のことを知っていないかと思って、

今回相談に来させてもらったんだ」


本題に入る前に色々なことを教えてもらえたので、

すでに情報過多ではあるが、

ようやく本題に入ることになる。

煌輝石の実物は今回手に入らなかったので、

武器から感じ取ってもらうしかない。


「ほう……。

その鉱石がこの武器の要になってるってことか。

鉱石っていうのは世界にいろんなものが溢れていて、

その土地土地でしか算出できない鉱石も多いからな。

もちろん魔法で色々な場所に行くことも取り寄せることもできるから、

情報はよく集まるようになってはいるが、

この武器に中に感じられるような鉱石は、

ワシは今までに見たことがないかもしれんな。

この武器の輝きはやっぱりその鉱石、唯一無二ものなんだろう」


「エルフの知識を持ってしてもわからないものなのだな」


「まあエルフって言ってもちょっと長くいきれるだけだからなあ。

世界中の知識を知ってるようなエルフももちろんいるんだろうが、

ワシは一介の鍛冶屋にしか過ぎんよ」


ハルダヴェルグは豪快に笑う。

壁に並んでいる装備品一つ一つから漂ってくる、

危険な魔力を感じ取るだけでも、

ハルダヴェルグがただものではないということがわかるのだが、

そんなハルダヴェルグにもやはりわからないことはたくさんあるし、

おそらくわからないことだらけなのだろう。

遼香は核心について話すことにした。


「先入観を持ってもらいたくなかったから詳しくは説明しなかったんだが、

実はこの武器に我々が魔力を込めると、

魔族特効の効果が現れることがわかったんだ」


「魔族特効だと?

魔族にだけ攻撃力が上がるとかそういうことか?」


ハルダヴェルグの声が一つ高くなった。

それほど驚いているようである。


「そういう効果もあるんだろうが、

直接魔族をこの武器に魔力を込めて攻撃すると、

その部位に対して、

魔族の魔法効果が失われる。」


「どういうことだ?」


「要するに斬られたり叩かれたりすると再生しない。

魔法効果も一定期間聞かなくなるようだ。

しかもそれは魔族にしか効果がない。

そして直接この武器で攻撃をしないと効果も現れない」


「なんてこった。

魔族にだけ効果がある鉱石っていうことか……。

まあそんな鉱石がないとは言わないが、

確かにそれは貴重な鉱石になるな……」


ハルダヴェルグは少し考え込み始めた。



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