第517話 ダークエルフの村へ
エルフに連れられて違う小部屋に通される。
部屋の中の鉄の門を開けると、地下へと続く石段が現れる。
魔法石によって明るく輝いてはいるが、
薄暗い石段の底は全く見えない。
カツンカツンという足音を鳴らしながら、
緑箋はその地下へと歩みを進めるのかと思ったが、
もちろん隣には昇降機が用意されている。
魔法とは角も便利なものなのだ。
ゆっくりと降りながらエルフは説明してくれた。
「この地下には、ダークエルフの村があります。
彼らは、光を好み、美しいものを作る我々とは対照的に、
闇を好み、独特の美意識を持つ種族です。
しかし先ほども説明がありました通り、
決して邪悪な存在ではありません。
少しだけ臆病なだけです。
こちらの人間の世界ではともに暮らすようになって、
お互いに支え合って生活しております。
交流も多く、出入り口はここだけではありません。
子供たちは共に学校で学ぶようになりましたし、
大人たちもお互いに技術交流などをしながら切磋琢磨しております」
地下に降りるにつれて、空気は次第に冷たく湿り気を帯び、
かすかな水の音が聞こえてくる。
しばらく降りていくと、視界が開け、広大な地下空間が現れた。
明かりに照らされてしっかりとした明るさがあり、
その奥にも、家々の無数の光が煌めく村が広がっていた。
「これが、ダークエルフの村です」
村の建物は、石や鉱物で作られており、光を吸収するような黒っぽい色をしていた。しかし、その中には、宝石のような光を放つものもあり、
モザイク画のような独特の美しさを醸し出していた。
「ダークエルフたちは、こういう地下で、自分たちの文化を育んできていました。
彼らは、優れた工芸技術を持ち、美しい装飾品も作ります。
また、彼らは、闇を操る魔法にも長けており、
その力は我々を驚かせるものがあります」
そのような話をしていると、
ダークエルフが一人近づいてきた。
「ナルエル、久しぶりだな。
こちらが客人だな。
ようこそダークエルフの村へ」
今まで名乗っていなかったエルフはナルエルと言うらしい。
「おお、わざわざありがとう。
こちらはダークエルフのハルボードです。
こちらも優秀な鍛冶職人なんですよ」
「ははは、おべっかはいいって。
うちの師匠の話が聞きたいんだってね。
ご案内いたしますから、こちらへどうぞ」
ナルエルとハルボードは緑箋たちを鍛冶屋まで案内してくれた。
村人たちは、エルフたちの姿を見ると、
警戒しながらも、カレンが手を振ると、
手を振り替えしてくれた。
ダークエルフも少しだけ人付き合いが苦手なだけで、
人間とあまり変わらない、優しい人たちに思えた。
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