第515話 マイトリンが紹介するエルフ

「これであなたのエルフの魔力の封印は完全に解けたんじゃないかと思います。

心の中で封印していたエルフの魔力はやはりあなたの中にありました。

これからは今の体の感じを覚えておいて、

自分の中の魔力を確認していけば、

自ずと自由にエルフの魔力も使えると思います。

そしていつかは全ての魔力を混ぜ合わせることで、

カレンの魔力として使えるようになればいいと思っています。

それは本当のあなたの魔力ということになるでしょう」


「今マイトリン様から受け取った魔力を忘れずに、

これから精進して参りたいと思います」


「いやいや、それほど気を張る必要はありません。

あなたが少しだけ忘れていたものを思い出させたに過ぎません。

誰にも色々な魔力が宿っています。

あなたは確かに複雑なちを受け継いでいるかもしれませんが、

それは私たちにとっても同じことです。

父や母、そして祖母祖父、もっと元をだとっていけば、

とても複雑なものの血を受け継いでいるのです。

私たちのような純潔のエルフと考えられているものでも、

様々な魔力を受け継いでいるでしょう。

それは他の皆さんも同じです。

カレンが今まで忘れていた魔力を使いこなせるようになった時、

それこそが本当にカレンだけの魔力ということになります。

そうです。ただ本当のあなたの魔力を取り戻したに過ぎません。

ずっとあなたの中にあったものですからね。

魔族の魔力についてはもうわかっていると思いますし、

人間の魔力については皆さんから教わることができているでしょう。

これで全て揃ったということになりますね。

これからは本来のカレンの魔力を取り戻して見てください。

きっと素敵な魔力になると私は確信しておりますよ」


マイトリンはいつまでも優しかった。


「本当に何なら何までありがとうございます。

どうやってこのご恩をお返ししたら良いのか……。

必ず、皆様のお役に立てるように頑張ります」


カレンはそういうのがやっとだった。


「いいんですよ、カレン。

あなたはこれから自由に、素敵な一人の存在として生きてください。

私たちはそれを願っています」


カレンはありがとうございますとただ頭を下げるしかなかった。


「さてこれでカレンさんの問題はひと段落と言えるでしょう。

もう一つ遼香様からお話を伺っておりますが、

それは専門家に任せた方がいいと思います」


「それはとてもありがたいです。

専門家がいらっしゃるのですか?」


「はい、ここの地下に住んでおります」


「地下ですか?」


「そうです。

伝承によっては悪と考えられるような話もありますが、

彼らもまた目立つことが嫌いで優しい存在であるだけです。

元を辿れば私たちは同じですし。

人目を避けるように地下に住んでいることで、

白い肌が徐々に暗くなったという話もあるようです。

そして地下に住んでいるために、

地下の資源や鉱物に長けた存在となっております。

最近は我々のようなエルフと共に生活をして、

共存関係を強めているものたちもおります。

地下に住んでいるのは我々と同じエルフ、

自らはダークエルフと名乗っている種族になります」



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