第511話 エルフの魔力とは

思いもかけずカレンの話、

カレンの家族の話を聞くことができたが、

今回エルフと話がしたかったのは、

エルフの魔力についてである。

マイトリンは、静かに語ってくれた。


「エルフの魔法は、自然との深い結びつきから生まれます。

我々は、森羅万象に宿る精霊と共存し、その力を借りて様々な魔法を行使します。

例えば、植物を操り、花を咲かせたり、枯れ木を蘇らせたり、

また、動物と心を通わせ、彼らの言葉を理解することもできます。

古いエルフは、もっと強力な魔法を操ることができたと言われています。

天気を操り、星を動かし、時には、時間を操ったとも言われています。

しかし、そのような力は、時に危険を伴うものでもあります。

故に、我々は、魔法の力を慎んで使うことを学びました」


マイトリンは、少し考え込むように眉をひそめた。


「エルフの魔法には、大きく分けて三つの種類があります。

一つは、自然を操る『自然魔法』、

二つ目は、精神力を用いた『精神魔法』、

そして三つ目は、古代から伝わる『禁じられた魔法』です。

自然魔法は、我々が最も得意とする魔法です。

先ほども言った自然の力を借りて行使する魔法。

精神魔法は、相手の心を操ったり、幻覚を見せたり、

未来を予知したりする魔法です。

禁じられた魔法は、その名の通り、非常に危険な魔法です。

この魔法を使うと、周囲の人々をも傷つけてしまう可能性がありますし、

自分の命を使うような魔法もあります。

これについては今は語られることはありません」


マイトリンは、静かに語り終えるとカレンを見つめた。


「カレン、あなたの中にもエルフの血が流れているのは確かです。

エルフの魔力を使った魔法が使えるかということですが、

それに関しては私たちからはなんとも言えません。

確かにエルフ特有の魔法というのはあるのでしょう。

しかしこれはエルフが特別な魔力を持っているということよりは、

エルフが周囲の精霊たちの魔力を借りやすいということ、

つまりは単純に世界の魔力と共にあるというだけのことのような気がします。

ですから、その意味がわかるのなら、

それはエルフではなくともエルフのような魔法が使えるのではないかと思うのです。

緑箋さん、とおっしゃいましたね。

緑箋さんはこの魔力の流れがよく分かってらっしゃるのではないでしょうか?」


マイトリンは緑箋の目を見つめてズバリと突きつけた。

緑箋の魔力自体は全く大したことがない。

緑箋は周りの魔力をうまく利用して融合することで、

巨大な魔力を借りることで、

強力な魔法を使っているのだ。

これをマイトリンはたったこれだけの時間の中で見事に読み取っている。


「マイトリン様のおっしゃる通りです。

僕がエルフと同じような魔力使い方をしているかわかりませんが、

僕も周囲の魔力を借りて魔法を使っているという感覚があります」


「そうですね。

それが精霊という感じ方なのか、

それとも周囲に存在する他の何かの魔力なのか、

言葉や感覚は違うかもしれませんが、

おそらくエルフが感じているような魔力の使い方をされているんだと思います。

その可愛い龍があなたに懐いているのも、

きっとそういう魔力の使い方をされているからだと思います。

エルフが動物と共にあるように、

あなたもそういうものに好かれるのではないでしょうか?」


マイトリンは龗を見てとても優しい顔をした。

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