第497話 属性魔法への対処

「カレンさんに隠された魔力がこうしてわかったわけですが、

やっぱり人間の魔力に近いものを感じるだけではないですね。

もう一つの魔力がエルフのものなのかもしれません。

僕はエルフに実際に会ったことがないので、

確実とは言えませんが。

どこか妖怪に近いような魔力を感じますので、

多分エルフなんじゃないかと思います」


この中にエルフに会ったものはいなかったので、

誰もそれがエルフの魔力だとはわからなかったが、

確かに人間から感じられるものとは違う魔力の存在を感じられた。


「ということはもしかしたら、

光魔法が使えるということでしょうか?」


カレンは緑箋に聞いた。


「なるほど。確かにその可能性は高いですね。

より使いやすくなるということはあるかもしれません」


「母が見せてくれた魔法があるんです。

私が子供の頃から何度やっても成功しなかったんですが、

あの魔法が使えるかもしれないんですね」


「それは大切な魔法ですね。

今日はまだ無理をしないで、

また今度やってみましょう」


「はい、本当にありがとうございます!」


カレンたちは嬉しそうに抱き合っている。

緑箋はその光景を眩しそうに見つめていた。


「いやでも緑箋君、

あの魔法、一体どうやって防いだんだい。

仕組みを教えて欲しいんだが」


代田とたえが近づいてきた。


「それは私たちも聞きたいです」


ゾードは前のめりである。


「あれですか?

あれは別にタネも仕掛けもなくて、

単純に魔法を吸い込ませただけですよ」


緑箋はさも当たり前のようにいう。


「いやいやだからそれがわからないんですって。

あんな巨大な魔法を無傷で消滅させるなんてありえないじゃないですか?」


代田は興奮している。


「あれは魔属性の攻撃だっていうのはわかったんで、

先に準備をしていたんです」


「準備ですか?」


「そうです。

あれだけ強力な魔法を使うには時間が必要ですよね?」


「確かに、発動まで結構かかってましたから」


「そうです。通常一対一の時に使えるような魔法ではありません。

ただ大規模な戦闘ならば使えることもあると思います。

単純にため時間が長いからですが、

ためる時間が長いということは、

こちらも対処できる時間があるということです」


「それはわかります」


「それで魔力の構成を解析しながら準備をしていったわけです。

もちろんどういう効果があるかまではわかりませんので、

色々な想定をしながら準備をしたわけです。

今回は爆発するようなものではなく、

衝撃系というよりは吸収系の魔法でしたから厄介だったんです。

ただ準備時間はありましたので、

吸収系ならば吸収させればいいと思ったんです」


「わざと魔力を吸収させると?」


「そうです。その吸収させる魔法の大きさで威力は低くなっていくはずですが、

さらに今回は光属性の魔法を使用しておきました。

魔属性に吸収させることで対消滅するような感じですね。

その分早く魔法が収束したということになると思います」


「緑箋さんは簡単に言いますけど、

それをあの時間でやったっていうことですか……」


「属性関係は簡単ですから、しっかり学んでいきましょう」


緑箋の答えに、

周りのみんなは目を伏せて、

緑箋と目を合わせないようにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る