第471話 サタンとカレンの関係

「まあ多分ですけど、

サタンはカレンさんにそこまで執着がないんじゃないかって思うんです。

だから遼香さんも危険性が少ないと判断したんじゃないかと」


「ほう、それはどういう理由かな」


珍しく遼香が食いついてきた。


「魔族がどういう精神構造をしているのかはわからないんですが、

人間と全く違うということを抜きにしても、

サタンは娘とかいうのに興味はなさそうですよね。

純粋な魔力が好きなんじゃないかと思うんです」


「確かに薬鈴木様のおっしゃる通り通りかもしれません」


カレンたちが帰ってきた。

こちら側が用意した少しゆったりとした着物を着ている。

これはこれで違った雰囲気になって妖艶であるし、

白い肌によく似合っている。

そう緑箋は思ったが、

ゾードとサゴーロの青白い肌にもよく似合っていたので、

なんでも似合うのかもしれないと思った。


「緑箋でいいですよ。お二人もお願いします」


「かしこまりました」


カレンたちはあくまでも丁寧に返答をする。


「話しにくいことがあったらお答えにならなくていいんですが、

カレンさんはサタンとお話になったことはあるんでしょうか?」


「緑箋様のご想像通りかと存じます。

私がサタンと話すことはほとんどございません。

そもそも謁見すること自体がほとんどございませんので」


「やはりそうでしたか。

会う回数が愛情に即繋がるとは思いませんが、

それでもサタンの興味というのはそういうところにはないのではないかと思います」


「確かに魔族たちにはそういう傾向が多いとはいえるかもしれないな」


遼香も同意する。


「ですので、もっと言えば、

今回、亡命した魔族たちのことなど全く知らないでしょうし、

問題にもならないでしょう。

カレンさんについては少しだけ問題になるかもしれませんが、

それはサタンからではなく、

サタンの側近の立場からということになるでしょう」


「魔王様の沽券に関わるってことだね」


朱莉はそういって天井を見た。


「まあそういうことです」


「なるほどなあ。

ってことはここにいても多分安全っていうことなのかな」


幽玄斎はもう納得しているようである。


「用心に越したことはないよ」


朱莉はあくまでも慎重な姿勢を崩さない。

何かがあってからでは困るのだ。


「そうですね。ただサタンは一つ考え違いをしてるんです。

ねえカレンさん」


「緑箋様がおっしゃることはなんとなく想像できますが、

それは買い被りです」


「ここにいる人たちは達人ばかりですので、

魔力を感じ取れる人ばかりだと思いますが、

今感じてるカレンさんの魔力は、

実力の半分にも満たないですよね。

基本魔族って自分の実力を隠したりしないので、

珍しいと思うんですけど、

これはカレンさん、誰かに忠告されてますね?」


カレンは少し虚空を眺めるようにして沈黙した。

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