第467話 魔族と一緒

「それからカレンさんについてですが。

カレンさんはまだ魔王に狙われるという危険がありますので、

こことは別の場所で生活していただくことになります。

というか我々と行動を共にしていくという形になります。

全員というわけには参りませんが、

従者の方も一緒にというのはもちろん構いません。

皆さんは寂しいと思われるかもしれませんが、

この件に関しましては少しご協力いただきたいと思っています。

カレンさんを特別に監視するというよな面がないとは言えませんが、

それよりも安全を確保するためということをご理解いただきたい。

もちろん日中に関しましては、

こちらで皆さんとともの生活していただく形になります」


魔族たちには不満と不安を抱えるものも少なくはなかったが、

これに関しても飲み込むしかないと考えているようだった。


「皆さん。不安はあると思いますが、

私もしっかり皆さんと一緒にここで生活できるようにいたします。

少しの間は不便もあると思いますが、

乗り切って行きましょう」


カレンはみんなを落ち着かせるように話しかけた。


「では本日はもう夜になりますので、

我々の方で陣を敷いております。

そこで食事と宿の方を使っていただいて構いません。

明日の朝にカレンさんと共にまたやってまいりますので、

そこでもう一度詳しいご説明をいたしました後、

ここでの生活を始めるなり、

学校に通うなりということにしていただけたらと思っております」


すでに砂浜の向こうには大きな建物が立っており、

そこで今夜は寝泊まりができるように確保されている。

巨大なクラーケンやオクトパスといったものたちも、

入れるような作りになっているが、

実際どういうところで寝ているのかはよくわからない。

一応魔族同士の会話ができるので、

人間とも念話を使う会話もできるようではある。

建物の中には魔法人形たちが世話をするようにできており、

また魔法人形を通じてこちらとも連絡をすぐ取れるようになっている。


極秘扱いではないが、

あまり人間と直接対話するのもまだ時間が必要だということで、

今回は軍人ではなく、魔法人形が生活の助けをすることになっている。


たえと代田と幽玄斎は魔法人形と共に、

大量の料理を作っていた。

大鍋の料理である。

魔族も普通の食事をするということは聞いていたが、

どのようなものをどのように食べるのかまではよくわかっていない。

動物や魚を丸呑みにするような食べ方をする、

そういう食べ方の方が多いのではないかと思われるが、

たえはせっかくなので食べてもらおうと思って料理を作ってくれていた。

緑箋たちやカレンたちも一緒になって手伝ってくれて、

巨大な鍋を完成させた。

魔法があるので小さなたえでも大きな鍋での料理ができるのがすごいところである。

こうやって一緒に料理を作ると、どこか一体感が生まれて、

心が通い合うんじゃないかと思わされる体験だった。


「ではうちのたえちゃんが一生懸命作ってくれた料理を皆さんで食べましょう!

では皆さんご一緒に!」


いただきます!となれない発声のものもいたが、

一緒に鍋を囲んで食べ始めた。

人型に近い魔物は器用に食べられるようだったが、

魔獣系の魔物たちは熱い料理に悪戦苦闘していた。

しかし自然な味付けの鍋は口にあったらしく、

我先にと鍋を食べ始めた。

しかしお互いに争うことなく、

みんなで楽しく料理を囲むことができた。

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