第466話 魔族たちの住む場所へ

魔族たちを順に移動させ、

最後に残ったのはカレンたちと緑箋と遼香たちだった。


「これで最後になるな。ありがとう。

流小野も今回はとても重大な任務をこなしてくれてありがとう。

まだ何かあるかもしれないから警戒は怠らないようにしてくれ」


「大将にそう言っていただけて光栄です。

被害もなかったことを嬉しく思っております」


流小野も数日遼香とともに仕事をして、

少しは慣れてきたようである。


「基本的には今日は以上だが、

後の確認をして報告してくれ」


「承知いたしました」


流小野は綺麗な敬礼をした。


「ではまた」


そういうと遼香たちは一斉に転送装置に入って、

転送先へ移動した。


転送装置から出た先は、先ほどと変わらないと思わされるような砂浜だった。

すでに魔族たちは整列して全員揃うのを待っていた。


「ではこれで全員揃いましたね。

皆さんにはここで生活をしていただくことになります。

先ほども説明したように申し訳ありませんが、

一定区域からの移動は禁止させていただいております。

その地域には結界が貼られておりますので、

外に出ることはできませんが、

中に入ってくることは可能ですので、

外からの動物たちは入ってくることができます。

言い方は悪いですが、巨大な球体の中で生活するというような形になります。

本当に遠くに行かない限りは結界に阻まれることはないと思います。

またこの区域の中では全て自由に活動していただいて構いません。

魔法で建築などを行ってもらうのも自由ですし、

農業漁業なども自由に行って構いません。

山や森や海や川などがありますので、

皆さんの住みやすいところで住んでいただければと思います。

必要なものがあればいつでもご連絡ください。

できる限りは用意いたします」


朱莉の説明と今の状況に魔族たちは呆気に取られている。


「あの、本当にここで自由に生活していいんでしょうか?」


カレンはこの光景を信じられないというように辺りを見回している。


「もちろんです。近くに人間は住んでおりませんので、

そこも安心して暮らしていただけたらと思います。

そして魔法や日本語についての指導もさせていただければと思います」


「指導ですか?」


「そうです。我が国で暮らしていただくことになるわけですから、

少しでも我が国のことを知っていただきたいということとともに、

今後は自由に生活していただけれるような橋渡しもできればと考えております。

学校のようなものだと考えていただけたらと思います」


「私たちが自由にですか?」


「その通りです。

すでに私たちは多くの種族との交流をしています。

各地ではすでに普通に色々な種族が生活しておりますので、

皆さんも一緒に住めるようになればいいと考えています。

もちろんすんなりと溶け込めというのは双方難しいとは思いますが、

それでも交流していただけたらと思っています。

で、おそらくこれは今ここにいる皆さんだからこそできることかと、

そのように考えております」


虐げられた魔族たちだからこそわかることがある。

魔族に心がないという人もいるが、

そうではないのかもしれないし、そうなのかもしれない。

ここでの交流がその一歩になればいいと、

遼香たちは考えているのだ。

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