第464話 検査終了
カレンと付き人たちがやってきた。
朱莉が状況を説明する。
「全員の検査が終了しました。
結果として、現在不審なものが体内にある、
不審な魔法がかけられていると言う兆候は誰にもみられませんでした。
カレンさん以外には元々何も魔法がかけれていないと考えて良いでしょう」
「ありがとうございます」
カレンはほっとした顔を見せた。
もし間者として送り込んできたのならば、
もう少し上級魔族を送り込んでくるだろうし、
元々相手にされていないような虐げられていた魔族たちであるならば、
位置情報を知らせるような魔法をかける必要もない。
生物兵器のような爆弾のような魔法がかけられている場合も想定されたが、
それもないようだった。
本当の戦争状態であれば、
そのような使い方をすることもあるのかもしれないが、
今の現状でこのような攻め方をするのは効果的ではない。
むしろ直接的な大部隊で戦いに来る方が効果的であろう。
このような遠回りな方法を使ってこないとは言えないが、
どちらかといえば魔族は人間を下に見ているはずなので、
やるなら魔力でねじ伏せる方を選ぶはずである。
「定期的な検査などを受けてもらうことにはなりますが、
今の現状で、私たちは皆さんを受け入れるということになります」
「それは、本当に!
ありがとうございます!」
カレンは嬉しそうに、頭を下げた。
「ではここでは危険があるかもしれませんので、
場所を移動して、そちらで生活していただくことになります。
初めは一定区間内での生活ということになりますが、
長期的にはそこから自由に移動していただけるようにしようと考えております。
もしかしたら皆さんに汚い言葉を投げつけるような人もいるかもしれませんが、
もしそういったことがあればいつでも相談してください。
特に魔力での揉め事になりそうなことがあれば、
すぐに駆けつけさせていただきます」
「何から何までありがとうございます」
幽玄斎は緑箋に耳打ちしてきた。
「これからどこに移動するのか、
遼香さんは何か言ってましたか?」
「いや、聞いてないですね。
幽玄斎さんも知らないんですか?」
「今日は現場で検査の手伝いをしていたんで、
細かいことは聞いてないんですよね」
「そうなんですね。
遼香さんの考えてることは流石に分かりませんねえ」
「まあそうですよね。
私も全く分かりませんよ」
二人はそういって苦笑いした。
だが緑箋は実は遼香なら選択肢は一つしかないだろうと思っていた。
そして多分それは当たっているんだろうとも思っていた。
緑箋も考えはしたが、
緑箋にはそれは実行できない。
しかし遼香ならばそれを実行することができる。
役職があること、責任があるということは大変なことではあるが、
自分のやりたいことを通すためには必要なことである。
そして遼香はそれを実行する手段だけではなく、胆力がある。
誰だって後から責められるのは嫌なはずなので、
無難に、とにかく何か問題があってもしょうがないという選択肢を取りがちだが、
遼香はそんなことは関係なく、自分の最善だと思ったことを通していく。
緑箋はそんな遼香を尊敬している。
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